低速でハンドルをきった時、ポルシェのタイヤがゴリゴリ音がするのは不具合?
公開日:2018.10.02
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タイヤの「ゴリゴリ」音
冬の寒い日に低速でハンドルを切った時、タイヤから「ゴリゴリ」「ボリボリ」という音がすることがある。(例えば、駐車場から右左折して出る時など)「これって不具合じゃない?」と、ディーラーに問い合わせるオーナーもおられるようだが、結論から言うと、これは不具合ではない。
そのあたりの理由を先日夫が説明してくれたのだが、例のごとく私はあまり理解できず…「私は物理は苦手やから、そういう理論は分からん(-_-)」というと、「これは物理の問題じゃなくて一般常識やw」と言われ、ラジコンを使ったレクチャーが始まった(*_*)
タイヤの「ゴリゴリ」音の原因
ポルシェは、ステアリング機構に関して「アッカーマンステアリングジオメトリーではなく、パラレルステアリングジオメトリーを採用」している。
アッカーマンステアリングジオメトリーとは、一般的な乗用車に多く採用されているものだ。超低速走行時、ハンドルを大きく切って曲がろうとすると、左右のタイヤが通る回転半径は異なるため、フロントタイヤの左右の切れ角が同じだと曲がりにくくなる。それを防ぐために、フロントタイヤの切れ角が異なるようにセッティングされているのが、アッカーマンステアリングジオメトリーだ。
ただ、アッカーマンステアリングジオメトリーを採用すると、中高速走行時にハンドルを切った時、遠心力の特性を活かしたスムーズな旋回ができなくなってしまう。例えば右コーナーを曲がるときは、遠心力により左側のタイヤへの荷重が大きくなり、右側のタイヤへの荷重は小さくなる。内側のタイヤの荷重が軽くなることで、より旋回性能が上がりスムーズに曲がることができるが、アッカーマンステアリングジオメトリーを採用すると、その特性が失われてしまう。
そこでスポーツカーやレーシングカーは、あえてアッカーマンステアリングジオメトリーを採用せず、パラレルステアリングジオメトリー(フロントタイヤの内側外側の切れ角が、ほぼ等しく平行に設定されたステアリングリンク機構)を採用し、中高速走行時に、よりスムーズに旋回できるように設計がしてある。
そのため、超低速時にハンドルを大きく切って曲がると、フロントタイヤの内側外側の切れ角がほぼ同じなので、前輪が横滑りし、「ゴリゴリ」「ボリボリ」という異音が発生するのだ。
また、ポルシェのタイヤは、高性能で熱に強いものが使われているため(ポルシェ認定タイヤの「N(数字)」の意味と、承認タイヤ開発の舞台裏)、逆に冬場の気温が低い時には、固く冷えたタイヤブロックとアスファルトとの摩擦で、あのような音がする。
つまりこの音は「ポルシェがスポーツカーである証」「高性能タイヤである証」なのだ。
ポルシェである証
ポルシェがパラレルステアリングジオメトリーを採用している理由を推測すると、
①中高速でカーブを曲がる時にスムーズに旋回できるようにする
②走行中にハンドルを切った時の応答性が向上する
③サーキットなどで内側のタイヤへの余計な負荷や熱を抑える
ということではなかろうか。そんなこんなで気づけば夫は、紙に書き出して解説してくれていた。(っていうか字が汚すぎて読めないw)
私も運転中、たまにこの「ゴリゴリ音」を聞いたことがあったが「自分の運転が下手くそで、タイヤに負担をかけているからこんな音がするのだ」と思っていた。でもそうではないと知り、少し安心した(笑)
ちなみに夫は、
「このゴリゴリ、ボリボリという音は、ポルシェの証なんや。もしこの音が嫌なんやったら、ポルシェなんて乗ったらあかん。高級国産車や、一般乗用車に乗るべきやわ!むしろ、この音を自慢してほしい!」
と言っていたw
いやはやースポーツカーって本当に奥が深いなぁ。
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コメント ( 8 )
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私も初ポルシェが冬からのスタートでしたので、初体験した時は『いきなり不具合!』って感じで、ディーラーに駆けつけてしまい、同じ説明をされた恥ずかしい想い出があります!
風の坂道さん
コメント頂き有難うございます!
>私も初ポルシェが冬からのスタートでしたので、初体験した時は『いきなり不具合!』って感じで、ディーラーに駆けつけてしまい、同じ説明をされた恥ずかしい想い出があります!
そうなのですね(笑)!でも、不具合か…!と一瞬思いますよね。私は「自分の運転が下手すぎるからタイヤからこんな音がするのだ」と思い込んでいて、最近まで口にすることすらできていませんでした(笑)
初めまして!いつもブログを楽しく拝見しています。
2年前に突然ポルシェ病(笑)を発症した九州在住のものです。空冷964→ケイマンGT4→718ボクスター GTS→991GTS納車待ちと実用性の全く無い
車遍歴ですが、空冷964は動けば満足ですので不具合は気にしません(適当)GT4とボクスターは共にバキバキ音がします(笑)
ちなみにアルファロメオのジュリアクアドリフォリオ も同様でした。スポーツカーの勲章なのかな?
これからも楽しいポルシェ記事を楽しみにしています!
るんるんルンバさん
素敵なペンネームですね^^!またコメントを頂き有難うございます!
>2年前に突然ポルシェ病(笑)を発症した九州在住のものです。空冷964→ケイマンGT4→718ボクスター GTS→991GTS納車待ちと実用性の全く無い
>車遍歴ですが、空冷964は動けば満足ですので不具合は気にしません(適当)
おぉーーー素晴らしい車ばかり乗り継いでおられるのですね…!しかも991GTS納車待ちとは…すごい!!!
確かに実用性はあんまりないかもですが(笑)スポーツカー好きの方からすると、よだれが出るほどうやましいラインナップですよね!
アルファロメオのジュリアもそうなんですね!夫がいっとき「ジュリアがかっこいい!乗りたい!」とずっと言っていました^^
これからも引き続きよろしくお願いいたします!
お邪魔します。
私も981で経験しました。
特にT字路で一時停止から発進して左曲がりの時にガッガッガッとなっていました。
冬でタイヤが硬かったのと3年間で12000km走行で山が減ってきたのも関係有るかと思い
ピレリPゼロからミシュランパイロットスポーツ4に入れ替えてみましたら同じ所(家の出口です)を通っても気にならないレベルになりました。
その後2年近くたち走行距離は22000Kmになりましたが今のところいやな音と振動は出ていません。
私の981の場合タイヤの硬さや残り山による逃げ等の影響だったのかなーと思っています。
カサマチカラさん
有難うございます!もうだいぶ寒くなってきましたし、タイヤが”ガガガ”の季節になってきたな〜と思う今日このごろです(笑)
>私も981で経験しました。特にT字路で一時停止から発進して左曲がりの時にガッガッガッとなっていました。
>ピレリPゼロからミシュランパイロットスポーツ4に入れ替えてみましたら同じ所(家の出口です)を通っても気にならないレベルになりました。
そうなんですね!ガッガッガも乗っているとだんだん意識しなくなると言うか気にならなくなりますが、タイヤによってそんなに違うのですね…!
また色々と教えて頂けたら嬉しいです。
引き続きよろしくお願いいたします!
初めてコメントさせて頂きます。
私はポルシェ初心者の為、どの記事も楽しく拝見させて頂いております。
私はマカンに乗っており、こちらの記事を読む前までは完全に不具合だと思っておりました。
毎朝会社での駐車時に、音とステアリングで感じる抵抗にヒヤヒヤしつつも、不具合だと言われるのが怖くてディーラーにも行けませんでした。(笑)
私の周りにはポルシェオーナーな方がいらっしゃらないので、更新がとても楽しみです。
これからも楽しい内容お待ちしてます!
euukieさん
いつもブログを御覧頂き有難うございます!
そしてコメントまで頂き有難うございます^^
>私はマカンに乗っており、こちらの記事を読む前までは完全に不具合だと思っておりました。
結構大きな音がしますし、完全に不具合だと思ってしまいますよね…^^;
私もまだまだ知らないことだらけで、ポルシェの常識と一般車の常識は全然違うのだなぁと、その奥深さに驚くことが多いです。
これからも私自身楽しんでブログを更新していこうと思っておりますので、
引き続きよろしくお願いいたします!