【ポルシェオーナーズファイル #15】MY 2019 新型カイエン 購入・オプション・走行レビュー
公開日:2019.05.24
皆さんこんにちは。「ポルシェがわが家にやってきた」管理人のMinaです。「様々なポルシェオーナーの生の声を共有してほしい!」という読者の皆さんのご要望からうまれた企画「ポルシェオーナーズファイル」。第15弾は、「風の坂道」さんから頂いた、「新型カイエン(MY2019、E3)」購入・オプション・走行レビューです。
〘オーナー情報〙
・今回紹介する愛車:新型カイエン(MY2019、E3)
・ペンネーム:風の坂道
・お住まいの地域:首都圏
・家族構成:4人(家内・子ども2人)
・過去の愛車遍歴:
【メインカー】
日産プリメーラ2.0TS(初代)→ VW Golf III GLi (GT Package) 1H型 → BMW 318i (E46) → BMW 318i touring(E46) → BMW 525i touring(E61)前期 → BMW 525i touring(E61)後期
→ ポルシェ カイエン V6 (958)前期 →ポルシェ カイエン(E3)
【サブカー】Cayenne 導入以降
VW POLO Active2 → Mercedes-Benz GLA 180(現行)
・読者へ一言
911 DAYS・The911&Porsche Magazineといったポルシェ関連の雑誌や、インターネット掲示板には、ポルシェの情報・記事・書き込みが数多くありますが、カイエン関連のものはほとんど見当たりません。
「カイエンは、911乗りの方からはポルシェと認められていない(笑)」とお嘆きの方や、「友人にポルシェやカイエンのユーザがおらず、相談できず困っていた」といった方々の参考になればと思い、この度投稿させていただくことにしました。
「ポルシェ=911」は、ポルシェの長い歴史と伝統の中で作り上げてこられた紛れもない事実だと思います。…が、今やポルシェの経営の屋台骨となっている「SUV」もまた、素晴らしい魅力や醍醐味を持ち合わせていることを、皆さんに少しでもお伝え出来れば嬉しいです。
1)購入に至る経緯
ー少年時代とスーパーカーブーム
今から遡ること約40年前、私が小学生の頃に、スーパーカーブームが到来しました。当時の私は、学校から帰宅するやいなや、カメラ片手に自転車に飛び乗り、近所のスーパーカー探索に繰り出していました。
ガソリンスタンドに常駐するランボルギーニ・ミウラ、他人の駐車場に停めてあったロータスヨーロッパ・ポルシェ・BMWなどを眺めながら、心ときめかせていたあの頃のことが、懐かしく思い出されます。
当時の日本には、現在のようなメーカ資本のインポーターはなく、オートロマンに代表される輸入業者が、仕入れ・販売をしていました。
輸入車販売店が軒を連ねる環状八号線へは、休日の度に足を運び、輸入車・スーパーカーをカメラに収めながら、「いつかきっと早瀬左近(漫画サーキットの狼に出てくる、主人公のライバルのポルシェ乗り)のようにポルシェに乗る!」と心に誓ったのでありました。
ーBMWを乗り継いで…
社会人になり、会社員として働きながら幾台かの車を乗り継ぎましたが、その時々で、分相応かつ、自分が欲しいと思う車を選択してきたと思います。
その結果、初代プリメーラを除いて全てがドイツ車となりました。(プリメーラもオペルを意識したヨーロッパテイストの車でしたが)
結婚後は「自宅駐車場は1台分のみ」「家内が日常用途で簡便に使える」といった制約・購入条件から、自ずとBMWのツーリングがベストチョイスとなり、3台乗り継ぎました。
特にBMW 525i touring (E61)は、同モデル内で異色(チタンシルバー・アルピンホワイト)を2台乗り継ぐほど、わが家の生活にフィットしていました。
ーSUVへの乗り換え
その後、クルマの乗り換えを検討する時期に入りましたが、「今度は、長年慣れ親しんだBMWのツーリングモデル以外で、ミニバンや高級バンではないSUVをベースに考えよう」ということになり、クルマの選定がスタートしました。
選定候補は、ポルシェ カイエン (957) 、BMW X5 MB、メルセデス・ベンツML350 、アウディQ5、レクサス RXの5台。
全車を試乗しましたが、カイエンは「こんな大きな車は、家内が運転できない」ということで、車体の大きさがネックになり…また、当時のカイエンの後部座席は、リラックスには程遠い設計だったので、カイエンは一旦候補から外れました。
その後もあれこれと悩み、試乗を繰り返していたところ、新型カイエン(958)が発表となりました。
「買いたい vs 分不相応では?」の間で揺れ動き、散々葛藤しましたが、標準設定の見直しや後部座席が進化したことを受けて、カイエンがオンターゲットとなりました。
問題は、車体の大きさでしたが…
「これまで頑張ったことへのご褒美と、最初で最後の贅沢!」という言い訳と、家族には普段使いのVW POLOを購入する条件で、憧れのポルシェ購入を決心するに至りました。
とはいえ「最初で最後の贅沢」なので、インポーターの発注済み車ではなく、オーダ車にすることにしました。
ーカイエンの魅力
念願のポルシェを手にしたわけですが、カイエンが納車され、乗った瞬間に、ポルシェ・カイエンの虜になってしまいました。車体の大きさを感じさせない運転のし易さ、安心のハンドリング&ブレーキ…さすがはポルシェ。
当初は「最初で最後の贅沢」だったはずなのに、5年のカイエンライフを経て、すっかりその魅力にはまり、あれよあれよという間に新型カイエンへ乗り換えることになったわけです(笑)
ーなぜポルシェの中でもカイエンを選んだのか
初めてカイエンを購入した当時は、「家族4人が寛いで乗ることができ」、「家内が頻繁に運転できる」という条件でしたので、カイエン一択でした。(その頃はマカンが発表になったばかりの時期でした)
今回の乗り換えでは、思い切って718ケイマンや971パナメーラ、中古の911、取り回しが若干しやすいマカンSも視野に入れていましたが…911、ケイマンは、「仕事を更に頑張った後のご褒美」に取っておくことし、新型カイエンに決めました。
とはいえ、並行して、メルセデス・ベンツGLC、レクサス RX、BMW X5・X6、マセラッティRevanndeといった他社のSUVも比較検討しました。
ーカイエンを選んだ決め手
決め手は「958カイエンからの大きな進化」です。新型カイエンS、次に新型カイエンを試乗しましたが、最初にSを試乗した時「Sってこんなに滑らかでパワフルなんだ!」と一瞬で魅了されてしまいました。
しかし、ベースグレードとSの価格差は約200万円!!
「オプションを制限し、素のSで行くか…?」などと散々悩みました。
ところが、翌週にベースグレードのカイエンを試乗させてもらったところ、その上質な走りや、使い勝手の向上したインパネ、PCMなどワンランク上の車格感に「この5年間の変化は素晴らしすぎる!!Sでは無くベースグレードなのに、これだけの装備や乗り心地が実現できているなんて!」と驚き、ベースグレードの購入を決めました。
とはいえ、お値段もだいぶランクアップしましたが(笑・汗)
2)オプション/仕様
新型カイエンは、安全装備・標準装備が充実しているので(その分、価格も大幅にアップ)オプション選択の趣が変わりました。(○=選択、×=未選択・設定なし)
主なオプション | 958 | 新型 |
レザーインテリア | × | ○ |
ポルシェ・エントリー&ドライブ | × | ○ |
マルチファンクション | ○ | 標準装備 |
シートヒーター | 前 | 前後 |
シートベンチレーション | × | 前 |
サーボトロニック | ○ | ○ |
オートマチックテールゲート | ○ | 標準装備 |
カラークレストホイール | × | ○ |
プライバシーガラス | ○ | ○ |
パークアシストカメラ | ○ | 標準装備 |
PDLSつきLEDマトリックスヘッドライト | ○ | ○ |
14way シート&メモリ | ○ | ○ |
BOSEサウンドシステム | ○ | ○ |
コンフォートライティング | ○ | × |
レーンチェンジアシスト | × | 標準装備 |
レーンキープアシスト | × | ○ |
【満足しているオプション】
1 ポルシェ・エントリー&ドライブ
今のご時世、他車では当たり前の装備ですが、わが家のサブカーであるメルセデス・ベンツGLAで利便性を痛感し、迷わず選択しました。毎回鞄からキーを取り出す手間がなくなり、非常に快適です。
2 シートヒーター
958では前席のみにつけましたが、冬は非常に快適でした。ただ「後席に乗る人に申し訳ない」という思いがあり、かつ捨てることのできないオプションなので、次は必ず前後装着と決めていたため、迷わず選択しました。
3 シートベンチレーション
多汗な私には最高のオプションであるにも関わらず、前回は「贅沢品だ」といって回避していました。が、シートベンチレーションが装着されていた試乗車に乗った時、その効力を痛感し即決しました。
4 BOSEサウンドシステム
958ではクラリオンナビとの相性もあり、実力を発揮しきれていませんでしたが、新型カイエンはサブウーハーの形状も変わり、音質も格段に向上しました。音楽好きの私にとって「クルージングをしながら、お気に入りの曲を聴く」ことが、最高のリラックスタイムとなっています。
5 レーンキープアシスト
最近視力が低下し、反応速度も鈍くなってきました…標準のレーンチェンジアシストとあわせて二枚岩でサポートしてもらえる安心感が気に入っています。
【迷った挙句、選択したオプション】
レザーインテリア
ポルシェに限らず、最近の欧州車にみられる「樹脂品質とシボ加工のなんとも言えないコストダウン感」は許容範囲を超えていると感じています。レザーインテリアのオプションは高額でしたが、迷った挙げ句選択しました。
【迷った挙句、選択しなかったオプション】
1 サンルーフ
歴代BMWやメルセデス・ベンツGLAでは装着していましたが、私は普段は音楽をかけながら走る事が多く、滅多に開放することもありませんでした。またカイエンは、身長180㎝の私でも十分に頭上クリアランスがありますし、リセール時のプラス面も考慮して、958、新型カイエンとも選択しませんでした。
2 アンビエントライト
様々な色を選択できる楽しさはあるものの、後席サイドエアバックの予算に化けました。
【全く検討しなかった鉄板オプション】
1 スポーツクロノパッケージ
標準でも十分に走りを堪能できるし、SUVにはメリットを見出せず毎回見送っています。
2 エアサスペンション
エアサスは、以前乗っていたBMWでだいぶ懲りました。試乗車で、エアサスのメリットも十分に堪能できましたが、検討対象外でした。
【その他の装備】
TVチューナー
以前のカイエンでは、高価ながらもオプション選択できましたが、新型CayenneのPCMにはAUX入力もなくなり選択できませんでした。悩んだ挙句、リリースしたばかりのカイエン用ナビ男くんをデーラー装着しましたが、無ければ無いでTVは見ないので、活用機会の少ない高価なオプションとなってしまいました。
3)納車までの経緯
・2018年5月
内覧会にて実車確認と正式な日本語カタログを入手し、詳細装備の確認とオプション検討を開始し、コンフィグレーターで総額見積もりを試算しました。
・2018年7月
7月の試乗車投入と同時に、カイエン、カイエンSを乗り比べし、カタログと見積もり総額を睨めっこする日々でした
・2018年8月
958の2回目の車検までに入れ替え可能な生産枠の発注リミットを告げられ、決断し、発注しました。
・2018年11月
生産枠を確保し、958をディーラーに下取りに出すか、買取業者に売却するかの相見積もりなどで気を紛らわしました(笑)
・2019年2月
欧州では、クリスマスといった行事のために11月後半から年末にかけて仕事のペースが緩慢になるので、若干ではありますが豊橋への陸揚げが遅れ、2月に無事納車されました。
4)ディーラの対応
様々なディーラにお世話になりましたが、一部のメーカの直営店を除いて、フランチャイズのディーラーは、経営母体の影響が大きいのではないでしょうか。
私がお世話になっているポルシェセンターは、ドライでもウェットでも無く、程よい感じの距離感で対応して下さるので、とても心地よいです。
高級車ディーラーでありがちな、お客様・常連様ファーストは、個人的には好きでありません。「お互いに対等の立場で、しっかりとサポートしてもらう」という点で、今のポルシェセンターや営業担当・サービススタッフになんら不満はなく、むしろ細々した要求にも対応くださり、感謝しています。
5)所有してみて感じるポルシェの性能
①エンジン
958の3.6V6エンジンと比較すると、圧倒的にアイドリングが静か、かつ滑らかになりました。また、走行時も958V6特有の、低速からの加速時のもっさり感がなくなり、全てがマイルドかつスムーズに感じられます。
車体の軽量化や、エンジンが3.6V6から3.0 V6ターボ化されたことで、エンジンとボディーのバランスが良くなった影響だと思います。
②ティプトロニック
シフトプログラムが馴染んでいないことが原因だとは思いますが、クリープの速度が速くなり、ボディーがスッと前に出て冷やっとしたり、アイドリングストップから復帰する時のシフトショックが大きいのが気になります。
走行距離の伸びと共に馴染んでくる事を期待しています。
③ハンドリング / ブレーキ
大型ボディーの切り返しのために、歴代の車にはアクティブステリアリング(BMW)、ポルシェでもサーボトロニックをもれなく装備しています。新型カイエンは制動の効き幅が大きいのか、首都高速でのちょっとしたステアリング操作の反応が大きく『あれっ』ということが何度かありました。
パワーステアリングプラスは無くても良かったかもしれません。
④燃費
街乗り 5.5~7.0km/L (短距離・短時間が多いので)
高速 9.5~11.0km/L
相変わらず金(ガソリン)食い虫です(笑)
⑤乗り心地、のり味
納車後、自宅へ帰る途中真っ先に「このまま遠くまでドライブに行きたい!」と思いました。こんな気持ちになったのは、約30年間車に乗ってきて初めてでした。それぐらい、快適かつ運転する楽しみを実感できる素晴らしい車に仕上がっています!
また、カイエンの素晴らしいポイントの一つがシートです。14Wayシートによって、見切りの良い快適なベストポジションを簡単に探し、設定することができます。
また、腰痛持ちの私でも長時間運転できる適度な硬さと、無理な姿勢をとることがないようにできているシート設計…最高のシートだと思います。
⑥家族の反応
車に全く興味のない家族が、開口一番「この車、乗り心地が良いね」とコメントしていました。これから夏を迎え、車内が暑くなるにつれて、シートベンチレーションが効果を発揮するでしょう。
⑦お気に入りポイント
1 マイルドかつパワフルになったエンジンと高級車並の静音性
2 長距離乗りたくなる乗り心地と安心して運転できる直進性・頼りになるブレーキ
6)今後ポルシェを購入するなら絶対つけたいオプション
① 14Way シート
② シートヒーターとシートベンチレーション
③ 各種安全装備
7)気になる部分
1 車体の大きさ
958でも大変苦労しましたが、更に拡大された横幅1983㎜ボディは、正直使い勝手が悪いです。顕著に困るのが、外出先の駐車場です。
平置きのコインパーキングはスペック上では車幅1900mmまでですし、隣との間隔次第では絶対に停められません。どこに行くのも事前に駐車場を下調べし、平置きかつスペースに余裕のあるパーキングや、新しい大型施設の広めの駐車場を選択するようにしています。
もちろん、トナラーも意識しています(笑)
場合によってはGLAで出かけて、現地調査をした後、2回目以降はカイエンで参上することもあります。
2 PCMとPorscheConnect
iPhoneとのBluetooth接続、Apple Carplay接続、更には無線LANで接続するPorscheConnectの切分けが面倒です。比較的、IT・デジタルツールに強いデジタルおやじの私でさえ面倒なので、少し年配の方になると使いこなせないと思います。
また、ソフトの安定度向上が課題ですね。
3 インポータ(ポルシェジャパン)のスタンス
気になるというよりも、今後期待することではありますが、ポルシェジャパンには「CHRISTOPHORUSの単純和訳をやめて、独自の機関紙を発刊してもらいたい」ですね。
独自に解決することは出来ないかもしれませんが、ポルシェ然りBMW然り、本国バージョンの記事の単純な和訳のみで、コンテンツがつまらないです。
一方、メルセデス・ベンツのMercedesMeは読み応えもあり、毎回、家の届くのが楽しみです。
8)総評
2台乗り継いだカイエンですが、清水の舞台から飛び降りる思いで購入して、本当に良かったと思っています。決して走り屋でない私ですら『走る喜び』を感じることができ、幸せな時間を共有できる、最高のパートナーです。
9)あなたにとってポルシェとは?
私にとってポルシェは「最高のモチベーションリソース」です!
以前、BMW 、メルセデス・ベンツ、アウディ、フォルクスワーゲン、ボッシュコンティネンタル といった、ドイツの自動車・サプライヤーのオフィス・工場に何度か伺ったことがあります。
それぞれの会社で、明確なる他社との差別化、特有の社風・文化・気質を感じました。
そんなドイツ自動車の最高峰であるポルシェという素晴らしい車に乗ることができていることに感謝しつつ、「これからもこの素晴らしさを思う存分味わい、次回もポルシェを選択できるよう仕事に邁進したい」と思える。
まさにポルシェは、私にとって最高のモチベーションリソースなのです。
〘ブログ管理人の所感〙
昨年新型カイエンを試乗したとき、そのあまりの滑らかさとハンドリングの正確さに衝撃を受けました。「新型カイエンってこんなに良く出来た車なのか」と…。それまでは「SUVは嫌いだ」と言っていた夫ですら「このカイエンは欲しい!」とはしゃいでいたので、かなり驚きました(笑)SUVといえども、しっかりとポルシェイズムを感じられるカイエン、私もほしいです(笑)風の坂道さん、有難うございました!
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