1台だけの特別なポルシェ 718スパイダーRSが登場

ポルシェニュース

伝説のレースを称える特別な一台

ポルシェが、カレラ・パナメリカーナ・メキシコでの歴史的な功績を讃える特別仕様車シリーズの第3弾を発表した。
「718スパイダーRS パナメリカーナ・スペシャル」と名付けられたこの一点物のクルマは、1954年のカレラ・パナメリカーナでクラス優勝を果たした伝説の550スパイダーにインスピレーションを得ているとのこと。

このスペシャルモデルのグラフィックパッケージは、1年前にポルシェが発表した718ケイマンGT4 RSベースの2台とほぼ同じデザインを踏襲している。ナンバー152と154が付けられたそれらのクルマは、カレラ・パナメリカーナの初期の開催回を称えたものだった。

1954年のクラス優勝車へのオマージュ

今回の一点物のクルマは、1954年のカレラ・パナメリカーナでハンス・ヘルマンが駆り、総合3位かつクラス優勝を果たした550スパイダーをモチーフにしているそうだ。5日間で約3200kmを走破するこのレースで、ヘルマンは1.5リッターエンジンを搭載したマシンで、5.0リッターV12エンジンを積んだフェラーリ375プラスで優勝したウンベルト・マリオーリに、わずか87分差まで迫る快挙を成し遂げたとのこと。

この1954年の大会は、カレラ・パナメリカーナの最後の開催となった。ポルシェにとっては、1952年に次ぐ最も成功した大会だったそうだ。この大会で、ポルシェは初めてツインカムの550スパイダーエンジンをレースに投入。このエンジンは後にカレラエンジンと呼ばれ、以降のすべてのカレラモデルに影響を与えることになったという。

ノスタルジックな要素を現代に再現

現代の718スパイダーRSをベースにしたこのトリビュートカーは、オリジナルのボディワークに合わせてシルバーペイントが施されているそうだ。リアフェンダーにはカーマインレッドのストライプ、ドアとエンジンカバーには黄色の55という数字が描かれるなど、ノスタルジックなディテールが随所に散りばめられているとのこと。

インテリアは、レッドのシートと同色のステアリングホイールが、ブラックを基調としたキャビンと対照的な印象を醸し出しているそうだ。ヘッドレストには「カレラ・パナメリカーナ」の刺繍が施され、左側のプドルランプにはメキシコの国旗、右側には550スパイダーのシルエットが投影されるという凝った仕様になっているとのこと。

また、時計メーカーでモータースポーツのタイムキーパーとしても有名なTAGホイヤーとのパートナーシップにより、フロントフードには大きなTAGホイヤーのロゴが配されているそうだ。

ポルシェとタグホイヤーが贈る至高のコラボ時計 – カレラ クロノ トゥールビヨン x ポルシェ パンアメリカーナ

オークションに登場予定

多くのポルシェの特別仕様車とは異なり、この718スパイダーRS パナメリカーナ・スペシャルは、十分な資金があれば一般の人でも手に入れるチャンスがあるかもしれない。通常の特別仕様車が長年の顧客に優先的に販売されるのとは違い、このクルマは2025年頃にオークションに出品される予定だという。その収益はラテンアメリカの非営利団体に寄付されるそうだ。

このプロジェクトの真の目的は、ポルシェの「ゾンダーヴンシュ」プログラムの宣伝にあるとのこと。これは1970年代後半に工場で行われていたプログラムを現代に蘇らせたもので、顧客が自分だけの一点物のモデルをデザインし、ポルシェがそれを製作するというものだ。

現在では、米国のポルシェセンターでは顧客の個別の色や素材の要望に応じて工場での生産を手配することができるようになっているそうだ。さらに、すでに所有しているクルマを工場に送り返して再コミッショニングや一点物のカスタムサービスを受けることも可能で、それらは公式なものとして認められるとのこと。「ゾンダーヴンシュ」はドイツ語で「特別な要望」を意味し、ポルシェによると、現代の一般的な要望には、レザー仕様のカーゴエリアやマルチカラーの外装仕上げなどがあるそうだ。

この718スパイダーRS パナメリカーナ・スペシャルは、ポルシェの輝かしいレーシングヘリテージと、最新の技術や顧客のニーズに応える柔軟性を兼ね備えた特別なクルマだと言えるだろう。オークションでどれほどの価格がつくのか、そしてこのプロジェクトが「ゾンダーヴンシュ」プログラムの認知度向上にどれほど貢献するのか、今後の展開が注目される。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

プロフィール

このブログが気に入ったらフォローしてね!

コメントを閉じる
  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。