新型ポルシェ・タイカン4クロスツーリスモ徹底レビュー:タイカンオーナーが語る新型の違い

タイカン4 クロスツーリスモ
レビュー・試乗記

全領域で向上した新型タイカンの性能

わが家では先代のタイカン4Sクロスツーリスモを所有している。
今回、モデルチェンジ後の新型タイカンに試乗する機会を得たので、その進化を詳しく見ていきたい。

新型タイカンは、ほぼすべての領域で性能が向上している。モーターの出力が高くなり、後続距離が伸び、加速も速くなった。
さらに、充電速度も向上し、安定性やハードウェア面でも進化している。

タイカン4 クロスツーリスモ

エクステリアカラーはオークグリーン メタリック ネオ

特に全グレードで加速が格段に良くなっている。4S以上のモデルでは、スポーツクロノパッケージに新しいプッシュトゥパス機能が搭載され、ボタンを押すと10秒間だけ最大70kWのブーストを利用できる機能が追加になったり、航続距離もなんと35%以上向上している。

実際に試乗したクルマは電池容量が約80%で航続距離が410km以上だった。わが家のタイカン4Sはタイヤサイズが21インチと大きいので不利ではあるが、満充電で400kmいかないくらいなので、これはかなりの進化と言える。それもそのはず新型ではパフォーマンスバッテリープラスの充電容量が93kWhから105kWhに増加し、効率化も進んでいるのだ。

タイカン4 クロスツーリスモ

20インチ オフロードデザインホイール

サスペンションも改良され、これまでベースモデルでは標準だったPASMのバネサスが、全モデルでアダプティブエアサスペンションが標準装備となった。さらにオプションでポルシェアクティブライドサスペンションというオプションも追加可能だ。

これは、ブレーキングやハンドリング、加速時にボディを水平に保ち、段差をほぼ完全に吸収できるとのこと。今回の試乗車にはこの機能は搭載されていなかったのが残念だったが、個人的にもし新型タイカンを買うなら付けたいオプションのの一つだ。なお、このオプションは約120万円で、乗り込み時に車高が一瞬で上がるなど、利便性の面でも優れている。

エクステリアとインテリアの変化

エクステリアを見てみると、横や後ろからの見た目は先代とほぼ変わらない。

タイカンオーナーである私でも、その違いはほとんどわからない。しかし、フロントのヘッドライト周りは変化があり、ターボ以外のモデルではヘッドライトと縦の切れ込み部分が分かれている。そのため、ややツルッとした印象で、テスラにも似た印象をうける。

タイカン4 クロスツーリスモのフロント

ヘッドライトと縦のエアインテークの切れ込みが新型は分離した

ちなみにターボ以上のモデルは先代と同じようにヘッドライトと縦の切れ込みがつながっているため、先代と似た顔つきをしているので、もう少し迫力のある顔が良い方はターボ以上を選ばれると良いだろう。

インテリアデザインはほぼ同じで、スポーツクロノパッケージの時計のデザインが微妙に異なる程度だ。ハードウェア的には一緒だが、一部メーターのデザインが変わっており、左側のメーターに電池を表すアイコンが表示されるなど、残量や航続距離が確認しやすくなった。
また、スポーツモードやスポーツプラスモードを独自設定に変えて記憶させる新機能も追加されており、これは便利だなと思った。

タイカン4 クロスツーリスモのメーター

新型タイカンの実際の走行感覚とパワーの違い

実際に運転してみると、今回のモデルはSがつかないベースモデルのタイカン4クロスツーリスモだが、低速トルク感は先代のベースモデルより明確に上がっている。

アクセルを踏んだ時の低速トルクの付きが非常に良く、わが家の4Sとほぼ同じようなパワー感を感じた。

タイカン4 クロスツーリスモ

街中の低速走行でも力強さがあり、とても運転しやすい。足回りも非常に滑らかで、試乗車はタイヤサイズが20インチだったこともあるとは思うが、乗り心地は軽快で上質という言葉がふさわしい。芯のある乗り心地にもかかわらず、乗り心地が良い。ポルシェらしい仕上がりだ。
高速域でスピードが乗ってくると、先代との違いはあまり感じないが、低速ではハッキリ上質になったと感じた。

パワー感は先に述べたように、先代のベースモデルと比べて明らかにパワーアップしている。
十分な速さで、4Sのように「明確には速い」とまではいかないが、一般的には速いクルマと言える。高速域での加速は当然ながら4Sの方が優れているが、ベースモデルでも遅いと感じることはなく、追い越しなども全くストレスなくこなせる。この点は新型の大きな変化の一つだろう。これだけでも新型タイカンを選ぶ価値は十分にあると思う。

タイカン4 クロスツーリスモ

タイカンは間違いなくおすすめのポルシェ

タイカンは本当に素晴らしいクルマだと思う。お世辞抜きでそう思う。
なぜこれがもっと売れないのか不思議なくらいだ。

タイカン4 クロスツーリスモの内装

自宅の駐車場にコンセントがある、もしくはコンセントを引くことができる人は、911やボクスター、ケイマン以外ならタイカンを買った方がいい。

間違いなくおすすめする。

コンセントを引くのも、普通の200Vなら数万円で設置できる。特にご自身が911やケイマン、ボクスターといったスポーツカーに乗っていて、家族や奥様用のクルマにパナメーラやカイエンを乗っているという方は、今度は絶対にタイカンを選ぶべきだ。
おそらくクルマに興味が薄い奥様ほどタイカンを気に入るのではないかと思う。ちなみに妻は「もうパナメーラには戻れない。タイカン以外考えられない」と言っている。

普通、毎日400〜500kmも走ることはまずない。
多くの場合、奥様が運転するのは近所の買い物や送り迎えなど、一日に10kmや20km程度だろう。それなら家に帰ってコンセントを挿しておくだけで、一日走った分くらいは数時間以内に電池が回復するので、毎日、燃料補給とか気にすることなく走り続けることができる。まさにスマホの充電と同じだ。

また、電気自動車なのでエンジンを温める必要もなく、ちょい乗りでもクルマが傷まない。
それに子どもを待っているときもクルマの中でエアコンをかけたまま快適に過ごせる。エンジンがないため排ガスも出ず、車内で快適に過ごせるのも電気自動車の利点の一つだ。

タイカン4 クロスツーリスモ

クロスツーリスモはこのリアのドッシリ感が魅力!911のカレラ4Sみたい。

走りの面においては、言うまでもなく、タイカンはステアリングも非常に正確で、針の穴を通すかのような正確さだ。

これはポルシェならではの芸当で、人工的なハンドリングのクイックな演出が無いにも関わらず正確で、思った通りにクルマが動くため疲れない。巨大な車体にもかかわらず、加速は自由自在で、エンジン車と違って低速でのギアの切り替わりもないため、信号待ちでも渋滞でもシームレスに435馬力を堪能できる。これにはどんな優秀なV8エンジンもモーターのトルク感とスムーズさには逆立ちしても勝てない。
エンジン車のように回転が上がるのを待つ必要がなく、一瞬でそのパワーを楽しめる。日常で味わえ、使える435馬力なのだ。だから楽しい。

タイカン4 クロスツーリスモ

ブレーキもよく効くし、静かで安定していて、俊敏、曲がる、正確、そしてストレスがない。

本当にタイカンはいいクルマだと断言できる。
まず買って『性能がダメだ』とは絶対にならないクルマなので、ぜひ安心して購入を検討してほしいと思う。

これはもっと評価されるべきクルマだ。本来なら『911を買ってくれた人にしか売りません』くらいの強気で販売して欲しいポルシェ、それがタイカンだ。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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  • コメント ( 2 )

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  1. So

    こんにちは。いつも楽しく拝見させていただいております。私も911を3台(ナロー、993、992)、Macanを所有しており、今Audi RS4の入れ替えでまさにこのクロスツーリスモを検討しています。とても参考になる記事ありがとうございました!(所有されているクロスツーリスモの過去記事も全部読みました笑)

    • HiroHiro

      So さん、こんにちは。
      ブログをそんなにも読んでいただいて、こちらこそ有難うございます!
      タイカンクロスツーリスモは本当にオススメです!
      カッコいいし、性能的にも文句なし、もっと売れるべき車なんですけどね。そこだけが惜しいです。