妹のMINI クーパーD(3ドア)が納車。ポルシェ乗りの兄が乗ってみたらどう感じた?
公開日:2021.07.10
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BMW MINI クーパーDのワインディングでの走りは?
次にワインディングを走らせてみる。エンジンは5200~5400rpm辺りからレッドゾーンなので、当然ながら回して走る車ではない。それでも、シフトセレクターを左側に倒し、スポーツモードにしてアクセルを踏み込む。出足は相変わらずスッと出て、どんどんスピードを乗せていってくれる。
ATの制御に任せていると、ほぼどんな場面も4速あたりで走ろうとするようで、一般的な速度域では十分な加速感だ。
しかし、トルクがあるので、調子に乗ってエンジンを回しているとすぐにタコメーターの針がレッドゾーンに近づいてしまうのが残念でならない。こういった山道でエンジンを回して走るのが好きな私としては、どうもディーゼルエンジンというのは好きになれないのは正直なところだ。
これは好みの問題なので仕方ない。
ブレーキもかなりよく効く。そして、コントールしやすい。このクルマのブレーキの特徴を一つだけ挙げるとするなら、私はコントール性の高さを上げるだろう。こういうブレーキは、正直、国産車ではあまり見かけない。
それなりにネームバリューのあるスポーツカーでさえ、ストッピングパワーは申し分なくても、こういう人間の感覚に忠実なブレーキのフィーリングという点では、ミニに勝てていないと思う。だから、カーブの手前で足の微妙な力加減ひとつで、スピードを自在にコントールできるのはとても運転していて気持ちよく、そして楽しい。
そして、ミニの最大の特徴はやはりハンドリングだ。『ゴーカート・フィーリング』、これはミニのキャッチフレーズだが、確かにワインディングを走らせるとその言わんとすることはよく分かる。
とにかく、ニュートラルステア。その一言に尽きる。一般道のワインディングを気持ちよく走らせるくらいのスピード域では、ステアリングはコーナーの手前で切ったら、もうそのままで大丈夫だ。途中で切り増すことも、切り戻す必要もない。気持ちいいくらい、スパッとステアリングの角度が決まる。
極低速では硬めに思った足がここで生きてくる。軽くロールを伴い車体は前後バランス良くわずかに外側に傾く。ある程度のところでピタッと止まり、ちょうど車内のアームレスト前方あたりを中心軸に、気持ちよく曲がっていってくれる。全くこのコーナリングに不安感はない。65扁平のタイヤを履くクルマとは思えない安定感だ。素晴らしい。
芦有の有馬コーナーから十八丁コーナーへと続くところに緩やかなS字があるが、ここはバランスの悪いクルマだと直線的に気持ちよく走れないのだが、ミニは何事もなく、一本のラインを通すかのようにS字を駆け抜けていくことができた。
一方で、タイヤはハンコック製のスタンダードエコタイヤ(KINERGY ECO2)を履いていたが、このタイヤ、ある程度まではかなり粘ってくれるが、その先はちょっと不安になる。
シャシー性能がタイヤに勝っているので、タイヤだけ変えて、もう少しスポーティーなタイヤを履くとちょうどいいバランスになると思う。
ちなみに、同じBMWグループでの比較ということで、以前、試乗記を書いたBMWの320d(F30)と比較してみると、まずエンジンの音質的にはミニのディーゼルの方がディーゼル感は少なく感じた。
パワー感はさすがに320dの方があるが、足回りの味付けは本家BMWとミニでは結構違う。
一般的にBMWはもっと外側のフロントに荷重をかけて、曲がっていくようなフィーリングだが、ミニの方は車体全体を外側に荷重をかけ曲がるようなフィーリングである。同じメーカーといえども、ブランドごとにしっかりと味付けを変えているのだろう。
総評・あとがき
今回、ミニに乗ってみて、つくづくそのクルマに何を求めるかが大事だと感じた。まず性能的な面でいうと、エンジンの面白さ、回転フィーリング、音、そういったものをクルマに強く求める人には、今回のミニはあまりオススメできない。
しかし、街中でのドライバビリティ、フィーリング、加速感、静粛性などを求める人にはとても良いクルマだと思う。買い物から長距離ツーリング、通勤、通学まで万能にこなし、ワインディングでの身のこなしも素晴らしいものを持っている。
また、特にミニの場合はこれらの性能面だけでなく、このミニの世界観やデザインが自分の感性に合うかどうかが重要だと思う。決してパワーのカタログ値でクルマを語らず、独自の世界観を大切にし、何よりもライフスタイルやファッションの一部としてのミニに魅力を感じる人にこそ乗ってピッタリのクルマだ。
単なる工業製品や交通手段としてのクルマではなく、生活を彩るひとつのアイテムとしてのクルマ、それがミニなんだと思う。
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