ボクスター乗りが再度、マツダ・ロードスター(ND)に試乗 – 日本のワインディングはこれで良い!

ロードスター
レビュー・試乗記

NDロードスターとの再会

今回、マツダのNDロードスターに試乗する機会を得た。
実は約5年半ほど前にも一度乗っているのだが、今回は改めてその魅力を再確認することができた。

マツダ ロードスター(ND)に試乗。ボクスター乗りが運転するとどう感じるのか?

今回乗ったクルマは、ポルシェ718 GT4のオーナーが最近購入されたものだ。
そのオーナーさんは、クルマ仲間のロードスターを体験して良さに惚れ込み、自身も購入を決めたという。

試乗したのは、Sのスペシャルパッケージ(SSP)とされるグレードだ。ほぼノーマルの状態で、HKSの車高調のみが装着されている。また運転席側のみバケットシートに変更されているが、それ以外はほぼノーマルの個体だった。

HKS

クラッチフィールと初めての印象

クルマに乗り込んでまず感じたのは、クラッチのつながりの早さだ。

ポルシェと比べると、クラッチを少し上げただけですぐにつながる印象を受けた。しかし、これは決して運転しづらいということではなく、むしろ扱いやすさを感じさせるし、特にエンストしやすいなどということもない。とてもクラッチの操作性も良いと思う。

ロードスター

発進して最初のカーブを2、3回曲がった時点で、私は大きな感動を覚えた。「こんなにロードスターって楽しかったっけ?」という印象だ。
とにかくよく曲がる。応答性が良く、かつ過敏すぎない絶妙なバランスが取れている。

ハンドルの切り始めは、切った分だけ正確に曲がるという印象だ。
緩みがなく、非常にコントロールしやすい。ある程度の舵角までいくと、ややオーバーステア気味にグイグイと内側に巻き込んでいく感覚がある。初心者にとっては少し怖く感じるかもしれないが、このクルクル回る感覚が非常に面白い。

ハンドリングの特徴と走行フィール

以前乗ったロードスターでは、ポルシェ・ボクスターと比べて回転軸が前にあるような感じがしたが、今回は自分より後ろにあるような感触を感じた。これは、サスペンションの違いによるものかもしれない。以前乗ったクルマはビルシュタインのB12が設定されていたが、今回はHKSのものだ。

カーブを走るたびに楽しくなる感覚は、なかなか他のクルマでは味わえないものだ。ポルシェと同様に、「もっとカーブが続けばいいのに」と思わせてくれる。

ロードスター

エンジンパワーに関しては、ある程度回転を維持して走ると不足は感じない。
日本の狭い峠道やワインディングロードを走るには、ちょうど良いパワー感とギア比だ。ポルシェだと少しギア比が長く、回したくても回せない場面があるが、ロードスターは気持ちよく中回転から高回転まで使っていくことができる。

走っている時は決して遅いとは感じないが、冷静に考えると特別速いわけではない。
しかし、それはどうでもよくなるほど、エンジンの力を全て使って走っている感覚が気持ち良い。これは、スーパースポーツやスーパーカーでは味わえない楽しさだ。クルマはパワーだけじゃないということを教えてくれる、ある意味大人なクルマだと言える。

エンジンサウンドの魅力

エンジン音に関しては、前回乗った時はあまり印象に残っていなかったが、今回改めて乗ってみると、非常に心地よい音だと感じた。爆音ではないが、しっかりと音が聞こえてくる。かといって、感情的な音でもない。

ロードスターのエンジン音は、まさにバックグラウンドミュージック(BGM)のようだ。ポルシェのエンジン音が「曲」だとすれば、ロードスターのそれは「BGM」なのだ。邪魔にならず、かつ運転に彩りを与えてくれる。これなら長時間のドライブでも全く苦にならず、むしろどんどん走りたくなるような演出になっている。

ロードスター

ブレーキフィールとパフォーマンス

ブレーキに関しては、前回の試乗時よりも良い印象を受けた。ポルシェほどではないにしろ、踏み応えに合成感があり、カッチリとした感じがする。ストロークで調整するというより、踏力で調整しやすい。そのため、非常に運転しやすく、気持ち良かった。

ストッピングパワーのコントロールが容易で、「このくらいの力で踏んだら、このくらい減速する」という感覚がつかみやすかった。これも運転の楽しさに貢献している要因の一つだ。

フル加速時の感覚も試してみたが、確かに特別速いわけではない。しかし、日本の道路事情を考えると、このくらいの加速力が適切だと感じた。ある程度安全で、かつ遅すぎず早すぎない。それでいてコーナリングスピードはかなり高く保てる。

ロードスター

ボディ剛性と総合評価

ボディの剛性感も非常に高く、マツダのクルマづくりの真髄を感じさせる。以前NCロードスターに乗った時から感じていたが、オープンカーでありながら高い剛性感を持つマツダの技術は、世界に誇れるレベルだと思う。

総合的に見て、NDロードスターは非常によくできたクルマだ。マツダの他の車種にはあまり褒められない部分もあるが、ロードスターに関しては別格の存在だと感じる。これほど素晴らしいクルマを作れるのだから、他の車種ももっと良いものが作れるのではないかと思わずにはいられない。

ロードスター

ポルシェ・ボクスター、特に986型との比較では、その楽しさは非常に似ている。
しかし、ロードスターの方が日本のワインディングロードにより適していると感じた。エンジンパワーもギア比も日本の道路事情に合っているのだ。

一方で、高速走行時の直進安定性については、欧州車のレベルには及ばない。というか、そこは目指していない気がする。
不安定というわけではないが、ボクスターのようにスピードを出せば出すほど安定するという感覚はない。しかし、日本の峠道やワインディングロード、そして田舎の国道を走るには、このNDロードスターは最適なクルマだと言える。オープンにした時の気持ちよさも格別で、風の巻き込みもボクスターより少ない。

私は間違いなく、いつかロードスターを購入すると確信している。
それほど魅力的なクルマだった。オーナーさんには心から感謝したい。このような素晴らしいクルマに乗る機会を与えてくれたことに。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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