ポルシェ乗りの仕事の哲学 | ポルシェを買ったが忙しくて乗る時間がなかった私は、どうしたか。
公開日:2022.01.11
ポルシェを手にしたが、乗る時間ない
夫は2016年に、自身のファーストポルシェとなるボクスターGTS(981、MT)を購入した。ただ購入後、
せっかくポルシェを買ったのに、仕事が忙しくて今のままでは乗る時間が無い。仕事をもっと周りに任せて、自分がいなくてもまわる体制にしよう。これからは、年収よりも、「時給を上げる」意識を持って働こう
と思うようになったそうだ。
当時の夫は、自分も第一線で仕事をしていたが、あれから5年経ち、現在は自分がいなくても問題なくまわる会社になっている様子。
どうやって今の状態に至ったのか、その過程をもっと詳しく聞きたいなぁ〜と前から思っていたのだが、自宅で話そうとするといつも子どもたちに遮られてしまうので、結局聞かずじまいになっていた。
そして先週末、実家から自宅に帰るために夜の高速道路を走っていた時のこと。夫が運転し、私は助手席に座り、後部座席の子どもたちが3人とも寝てくれたので、前からの疑問を夫に聞いてみることにした。
「自分がいなくても回る体制にしたって言ってたけど、まずは何から取組んだん?」と。
すると夫はこんな風に答えた。
そやなぁ…僕は、体系化して、研修して…という風に順番に教育していくのではなくて、実際に案件をどんっと任せて、経験して、乗り越えてもらうというやり方にしてたわ。
「提案したら通ってもた!」とか「やばい明日までになんとかせないかん!」といった状況を経験して、自分の力で乗り越えてもらうというやり方で任せていってたなぁ。
と。
続けて夫は、
研修をして、着実に育てていくやり方も、もちろんいいと思う。そのほうが、早く確実に育てられるかもしれん。
でも僕は「人材育成」に情熱を注げるタイプじゃないんや。人を育てることに、あんまり興味がないんやな…。
「もう大人なんやから、自分で考えて自分で育っていってほしい」という考えやから、案件を自分で体験してもらって任せていくというやり方をとった。
このやり方やと、人が育つスピードは遅いかもしれん。でも僕の会社は、どんどん新規をとっていかないとまわらないビジネスモデルではないから、自分で経験して、失敗して、そこから学んで育っていってくれるやり方で全然いいと思ったんや。
と。
「でも、任せた案件が失敗してしまうことを考えると、口を出してしまったり、任せて任せずみたいになったりしないん?」と聞くと、
そやなぁ…まぁ相談されたら教えたりもするけど、でも、いくら教えても、実際に自分で失敗したり体験してみないとわからへんやん。
起業だってそうや。最初の頃は、営業に行って大見得をきったら「やばい、仕事とれてもうた!なんとかしないと!」ってなって、それを必死で埋めていく。その繰り返しで成長する。
そして、そうやって自分で気づいて学んで育ってくれる人じゃないと、当時の僕の会社の風土にはあわないという思いもあった。
あとは、「最悪失敗したとしても大丈夫」という案件を任せるようにしてたなぁ。「多少クレームになっても、僕が謝りに行けば済む話やから、大丈夫や」と言って任せてた。
このやり方でうちの会社では人が育っていったから、僕にはこのやり方があってたんやと思う。
と。
なるほどなー。どんっと仕事を任せるのはなかなか勇気がいるけれども、そうやって任せていかないと、人は育たないもんなぁ。
あと僕は、リスク分散について普段から結構考えてるな。1社に依存するとか、1つのモデルに依存しているとなると、それがうまくいかなくなったら終わってしまう。
投資の世界でも、リスクを分散させろとよく言うけど、経営でも同じことが言えると思うんや。収益の柱をいくつも作っておいて、一つがだめでも、他があるから大丈夫という状態を作っておけば、人の育成を焦らなくても会社はまわる。
まぁ、世間一般の経営の考え方とは違うかもしれんけどな。
と夫。
常識にとらわれずに、自分軸で動く
「それにしても、世間で言われていることはAかもしれないけど、僕はBのやり方でいく…という常識にとらわれずに進む姿勢は、ずっと変わらんのやなぁ」と言うと、
僕はそもそも、真面目な優等生タイプの社長ではないからなw ポルシェに乗れる時間をいかにつくるか、ということばかり考えてたから(笑)
小学生の頃の夏休みの宿題も、8月31日までやらなかったし、昔から「いかに楽をするか」「どこかに抜け道はないか」とばかり考える子どもやった。
そういう意味で、先生や両親や周りの評価が全然気にならない性格や。周りの評価よりも「自分が快適であること」「自由であること」のほうが大事。
だから、会社経営についても、「売上や規模を大きくしたい」「周りからすごいと思われたい」という気持ちが無いし、周りが上場しようが、成長しようが、全く気にならへん。
それよりも僕は、「財務体質の強い会社をつくりたい」とずっと思ってやってきた。
社員一人あたりの生産性や利益率が高く、稼げる柱が何本もあって、多少のことではびくともしない。そういう会社を作りたいと思ってやってきたから、そこに向かう方法も世間一般的なやり方ではなく、僕たちにしっくりくる方法を模索して実行してきた感じかな。
と。なるほどなぁ…。
今回夫の話を聞いて「こういう話を、もっと前から聞いておけば良かったなぁ」と思った(笑)いや、聞いていたかもしれないけれど、当時の自分にはあまり理解できなかったり、そこまで真剣に聞いていなかったのかもしれない…。
私は、自分で何でもやってしまう、いわゆる職人タイプで、頑張ることが好きだ。
もちろん、それは自分の長所だと思う。
でも一方で、もうすぐ40歳になり、子どもたちも小さくまだ思うように仕事できなかったり、20代のように無理がきかない体になってきている中、今までの自分のやり方を脱却し、自分じゃなくても回る仕組みを考え、稼ぎ方を変えていかないといけないと最近は強く思うようになった。
すぐにそうなれるわけではなく、数年はかかると思うけれど、幸い、経営や人生の先輩である夫が近くにいてくれるので、これからいっぱい吸収して、活かしていけるといいな。
今回の夫との会話の中で、夫が今後目指す働き方や稼ぎ方についても聞いてみたところ、とても面白い答えが返ってきたので、それについてもまたブログでご紹介してみたい。
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コメント ( 2 )
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そうですね。
人を育て、自分じゃなくても回すって、本当に難しいですよね。
従業員の生活を支える重責もありますし。
でもその従業員は人間で、全員、個性のカタマリです。
バリバリ営業マンの下にいた若い子が、心を病んでしまう。
誰より頑張っていた子が。
昨年末にそんなことを目の当たりにしてしまい、もう、どうすれば良いか分からなくなってしまいそうです。
たけたけさん
コメントをいただき有難うございます!
人を育てるってすごく難しいですよね。
人それぞれ、興味や得意なことは違いますし、組織が求めることと、本人がやりたいことがマッチするのも、
なかなか難しいですし…
バリバリ営業の下におられた若い方、そうなのですね…
きっと頑張り屋さんで、責任感も強い方なのだろうなぁと思いました。
たけたけさんのように、気にかけてくださる存在がおられるだけで、
救われる部分も大きいですよね。
時間が必要かもしれませんが、
その方が少しずつ心身ともによりよくなっていかれて、
また一緒に働けるようになられるといいなぁと思います…