ポルシェ911ターボがハイブリッド化、そして自然吸気のGT3エンジンはあと2年で終了へ

ポルシェ・911

ポルシェ911ターボ、ついにハイブリッド化へ

先日の記事でもお伝えしたが、ポルシェが次世代911ターボの生産を来年から開始すると発表した。
注目すべきは、すでに改良型911カレラGTSに搭載されているハイブリッド技術が、この新型911ターボにも採用されるという点だ。

ポルシェの副CEO兼CFOであるルッツ・メシュケ氏がCarscoopsに語ったところによると、992.2世代の改良型911ターボは2025年後半から生産が開始される予定とのこと。メシュケ氏は、新モデルには「Vartaのセルが搭載される」と述べ、ハイブリッドモデルであることを示唆した。

5月に発表された992.2世代では、911カレラGTSに初めてハイブリッドシステムが搭載された。このシステムは、トランスミッションに搭載された40kW/150Nmの電気モーターと、ドイツのVarta社製の1.9kWhバッテリーパックで構成されている。

興味深いことに、ポルシェは今年、3000万ユーロ(約49.5億円)を投資してVartaを破産から救済し、8月にはVartaのV4Drive子会社の過半数株式を取得した。このV4Driveの大型リチウムイオンセルが、カレラGTSのハイブリッドドライブトレインに使用されているという。

911ターボの性能はさらに向上か

911カレラGTSでは、ハイブリッド化された3.6リットル水平対向6気筒エンジンに大型シングルターボ(コンプレッサーとタービンホイールの間に独自の電気モーターを内蔵)を組み合わせ、システム全体で397kWの出力と609Nmのトルクを発生させている。

これらの数値は、改良前の992.1世代911ターボの性能(ツインターボ3.7リットル6気筒エンジンで427kWの出力と750Nmのトルク)にわずかに及ばないが、Carscoopsの報道によると、2026年モデルの911ターボはGTSのパワートレインをさらに強化したバージョンを搭載し、ベースモデルでも約450kWの出力を発揮する可能性があるとのことだ。

自然吸気のGT3エンジンにも変革の波?あと2年でターボ化の可能性

911ターボがハイブリッド化に向かう一方で、伝統的に自然吸気エンジンを搭載してきた911 GT3にも大きな変化が訪れる可能性があるそうだ。

Autocarの報道によると、ポルシェGTディレクターのアンドレアス・プロイニンガー氏は、GT3に搭載されている375kWの4.0リットル自然吸気水平対向6気筒エンジンの生産期間が、厳しくなる排出ガス規制への対応の難しさから、あと2年程度しか残されていないと語ったという。

プロイニンガー氏は「法律がなければ、このエンジンは永遠に生き続けられるでしょう」と述べ、「ユーロ7規制に対応するには、電動化かターボ化が必要だと思います。現状では、このクルマをあと2年は販売できますが、市場次第です」と付け加えた。

この4.0リットルエンジンは2018年からGT3に搭載されており、他の911モデルや一部の718モデルにも様々な出力設定で採用されてきた。2026年から施行されるユーロ7排出ガス規制により、このエンジンは現在の形では終焉を迎える可能性が高いようだ。

GT3の未来 – ハイブリッドかターボか

911ターボと同様に、GT3の問題に対する解決策も新型カレラGTSに見出せるかもしれない。あるいは、そのハイブリッドパワートレインを改良したバージョンが採用される可能性もありそうだ。

しかし、プロイニンガー氏は両者の用途の違いを指摘し、異なるパワートレイン構成が必要だと主張している。「GTSにとっては素晴らしいセットアップです。直線性能ではGT3と同等か、発進時にはさらに速いかもしれません。しかし、私にとってはどうでもいいことです。GT3にとって、直線はカーブとカーブを結ぶものに過ぎません」と彼は語った。

911 GT3

GT3がターボ化されたことは過去にないが、911シリーズのフラッグシップモデルであるGT2およびGT2 RSのベースとして使用されてきた経緯がある。ポルシェは今後数ヶ月以内に992世代のGT2 RSを発表する予定だとされており、新世代モデルが登場する前の911のライフサイクルの最終段階で、常にハイパフォーマンスモデルとして登場してきた。

ポルシェ911の進化は、伝統と革新のバランスを取りながら着実に進んでいるようだ。ハイブリッド技術の導入やターボ化の可能性など、大きな変革期を迎えつつあるポルシェ911。しかし、そのスポーツカーとしての本質は決して失われることはないだろう。ポルシェ乗りの方々にとっては、これからの911の進化がどのように映るだろうか、私も注目していきたいと思う。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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