歴代ポルシェ911 GT3の中で最高速が最も速いGT3と最も遅いGT3は?

ポルシェ・911

ポルシェ911 GT3シリーズの進化

ポルシェ911 GT3シリーズは、高性能スポーツカーの代名詞として長年にわたり進化を続けてきた。
初代は996型のGT3であり、当初はレース用ホモロゲーションモデルとして限定販売で開発されたのだが、予想を上回る人気を博し、今や911シリーズの中でも特別な存在となっている。

GT3シリーズの歴史を振り返ると、初代モデルから最新型まで4世代にわたって進化を遂げてきている。
各世代で性能向上が図られ、エンジン出力や0-100km/h加速、最高速度などの数値が着実に向上してきた。特に注目すべきは、ほとんどのモデルが300km/h以上の最高速度を記録してきたという点だ。

その中で最も最高速が速いGT3は991.2 GT3(MT)と992.1 GT3 (MT)であり、いずれも時速320km/hにも達する。

911 GT3 Touring package (992)

最新型GT3 RSの特徴

そんな中、2022年に登場した最新型の992.1世代GT3 RSは、GT3シリーズ史上初めて最高速度が300km/h未満となるモデルとなったそうだ。
具体的には296km/hという数字を記録している。これは、それ以前のGT3モデルと比較すると20km/h以上も低い数値となっており、最も最高速が遅いGT3となっている。

しかし、この最高速度の低下は決して性能の後退を意味するものではない。むしろ、最新型GT3 RSはサーキット性能を極限まで高めるために最適化された結果だという。ポルシェのエンジニアたちは、最高速度よりもコーナリング性能や加速性能の向上に注力したとのことだ。

992.1 GT3RSのウィング

空力性能の革新

最新型GT3 RSの特筆すべき点は、その革新的な空力パッケージにある。
特に注目すべきは、クルマのルーフよりも高い位置に設置された巨大なリアウイングだ。このウイングは単なる固定式ではなく、DRS(ドラッグ減少システム)を備えたアクティブタイプとなっている。

この空力パッケージにより、約200km/h走行時に約408kgものダウンフォースを生み出すことができるとのこと。これは、コーナリング時の驚異的なグリップ力につながる。その一方で、高速走行時には大きな空気抵抗となり、最高速度を抑える要因にもなっているわけだ。

992.1 GT3RS

サーキット性能の向上

最高速度は低下したものの、最新型GT3 RSのサーキット性能は飛躍的に向上している。
その証拠に、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでの驚異的なラップタイムを記録している。6分49.328秒という記録は、自然吸気エンジン搭載車としては史上最速のタイムだという。

このタイムは、700馬力以上を誇るメルセデスAMG GT ブラックシリーズやランボルギーニ・アヴェンタドールSVJといった、はるかにパワフルなスーパーカーたちと肩を並べる記録だ。GT3 RSの518馬力という出力を考えると、いかに効率的にパワーを路面に伝達し、コーナリング性能を高めているかが分かる。

992.1 GT3RS

このように、最新型GT3 RSは最高速度という一つの指標では劣るものの、サーキットでの総合的な性能では歴代GT3の中で最も優れたモデルとなっているのだ。ポルシェが掲げる「Intelligent Performance(インテリジェント・パフォーマンス)」の理念を体現したクルマと言えるだろう。

ポルシェ乗りの間では、GT3シリーズの進化に対する評価は分かれるかもしれない。最高速度至上主義を貫くべきだという意見もあれば、サーキット性能の向上を支持する声もあるだろう。しかし、ポルシェが常に革新を追求し、既存の概念にとらわれない姿勢は高く評価されるべきだろう。

最新型GT3 RSは、最高速度という一つの指標を犠牲にすることで、サーキットでの圧倒的な性能を手に入れた。これは、ポルシェのエンジニアたちの挑戦精神と技術力の結晶と言えるのではないだろうか。今後のGT3シリーズがどのような進化を遂げていくのか、ポルシェファンとしては非常に楽しみだ。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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