豊田章男社長が公言「日本の自動車税を安くする!」ーこれにより車購入者が本当に増えるのか考察してみた
公開日:2018.08.09
日本の自動車税が高い問題
少し前に、日本自動車工業会の会長に就任したトヨタの豊田章男社長が「日本の自動車税は高すぎるので、自動車の税金はすべて軽自動車レベルにしたい」と公言されていた記事がネットでシェアされていた。
「自動車の税金を、全て軽自動車に合わせたい。軽自動車は地方に行けば公共の乗り物同然なので、軽自動車の税金を上げるなどもってのほか。また普通車の税金も軽自動車に合わせることで、ようやく国際基準になる」
ということだった。なるほど…!ちなみに2018年8月現在の日本の自動車税は以下のとおりだ。
①自家用乗用車
【総排気量:税額】
1L以下:29,500円
1L超~1.5L以下:34,500円
1.5L超~2.0L以下:39,500円
2.0L超~2.5L以下:45,000円
2.5L超~3.0L以下:51,000円
3.0L超~3.5L以下:58,000円
3.5L超~4.0L以下:66,500円
4.0L超~4.5L以下:76,500円
4.5L超~6.0L以下:88,000円
6.0L超:111,000円
②自家用乗用軽自動車
【総排気量:税額】
一律:10,800円
確かに高い…。しかもこの税金が、高速道路のリニューアルや、渋滞緩和の施策といった、何かしら車に関することに使われるのであればまだ少しは納得できる気もするが、使途は不明らしい。また海外と比べると、日本の自動車税はこんなにも高い。
*出典:豊田章男自工会会長、「自動車の税金はすべて軽自動車レベルに!」日本は米国の31倍
イギリスの約2.4倍、ドイツの約2.8倍、アメリカの約31倍って…!!
年間維持費は相当なものになる
また車を購入すると、自動車税以外にも、駐車場代、高速道路通行料、ガソリン代、保険料、車検代といった維持費がかかる。車を買ったはいいが、手放さないといけないという話も聞いたりするし、以前、ボクスターとパナメーラの実際の年間維持費を計算してみたが、高くてドン引きした((;゚Д゚))。
→【参照記事】981ボクスターGTSの年間維持費を計算してみた−ガソリン代、オイル交換、自動車保険、燃費etc.
→【参照記事】新型パナメーラターボの実際の年間維持費を計算してみた結果は?
そう考えると、今車を所有している人にとっては、自動車税が安くなるのはとても喜ばしいことだ。
ただ…とある記事には「自動車の税負担が減れば、カーライフを楽しむユーザーが一気に増えるかもしれません」と書かれていたけれども、自動車税が安くなることで果たして、今車を所有していない人が、あらたに車を購入することになるのだろうか?
理由を4つ挙げてみた
「自動車税が高い」ことは、車購入に二の足を踏んでしまう原因の1つにはなり得ると思うが、自動車税を安くしたところで、車を購入する人が増えるほど、そんな簡単な話ではないんだろうなぁと思った理由を何点かあげてみた。
①日本人の所得が減少している
総務省統計局の「就業構造基本調査」によると、働き盛りの40代前半男性の所得中央値が、25年前とくらべて約50万円も減少しているそうなのだ。1992年の所得中央値は524.1万円で、2017年の所得中央値は471.7万円。これは税引前の所得なので、手取りで考えるともっと下がることになる。*出典:40代前半男性の所得中央値
とはいえ、共働き家庭は増えているので(確か全世帯の6割を超えている)世帯年収で見るともっと多くなるはずだが、マイホームのローンに、子どもの教育費に、生活費に…と様々お金がかかる上に、数百万円もする車を買うのは現実的に難しい。
ちなみにわが家は「マイホームは買わず、その時々の生活スタイルにあう賃貸物件に引っ越せばいい主義」だ。(って誰も興味ないか)
②日本は鉄道網が発達している
先日アメリカに行って感じたのが、日本の鉄道網はとても発達しているということ。国土が狭いというのもあるだろうけど、都心の移動については地下鉄やJRがたくさん運行しているし、県をまたいだ長距離の移動は、新幹線や特急列車を使えば車より速くて楽だ。
また都会を車で移動すると、駐車場を探すのも大変だし渋滞に巻き込まれると時間がよめないし、さらには都会で車を所有するとなると駐車場代も高くついてしまう。そうなると、お金はかかるは不便だわで、車を所有するメリットがあんまりない。
③日本は車(モータースポーツ)文化が根付いていない
海外はもともと馬車文化で、F1やモータースポーツが日本よりはるかに盛んだ。サーキットで開催されるレースは観客も多いし、テレビでもレースの様子がよく中継されているため、車に触れる機会も多く車に対して肯定的なイメージがあるように思う。
一方日本はもともと飛脚文化で、「車=贅沢品」というイメージも根強く残っている。またスポーツ番組でモータースポーツのことが取り上げあれることはまずないし、車に親しんだり、車に触れる機会がとても少ない。
④日本は車の性能を発揮できる道が少ない
常々思うのが「日本の道をパナメーラターボで走っても、その性能を全く発揮させることができない」ということ常に1000回転あたりだし、このままパナメーラが寝てしまうんじゃなかろうか…と思ってしまうくらいだw。高速道路の制限速度も80km/h(一部110km/hとかあるのかな)だったり、直線も少ない。
ドイツは日本と国土がほぼ同じ広さだが平野が多いので、直線の多いアウトバーンや平原の中を気持よく走れるロマンチック街道なんかがあるけど、日本は山が多く平野が少ないのでなかなかそんな道もない。だから性能が良い車を買ったところで、その走りの楽しさを味える機会が身近に無い。
…と、今少し考えただけでもこのくらい出てくるので、もっと深堀りすれば根深い問題がまだまだ出てきそうだ。
とはいえ「所得が下がり、移動手段は電車が便利で、車の維持費や税金も高い」という日本において、車を持つメリットを感じにくいのは事実で、日本で車というと「移動手段」の意味合いが強いから、それなら軽自動車や荷物がつめるミニバンで十分だという話になると思う。
国産自動車メーカーも、走りが楽しい車を。
日本で今よりもっと車が普及するには何が大切なのか。よくモータージャーナリストや車好きの方が「日本の車メーカーも、もっと走りが楽しい車を開発して欲しい」とおっしゃっているが、確かにその通りかもしれない。
これついては、イギリスの元人気自動車番組「トップギア」の司会者の一人、ジェームス・メイが「最近の車がつまらない理由」についてこんな風に語っていた。
車好きじゃない奴が企画をして、
車好きじゃない奴が設計をして、
車好きじゃない奴が開発をして、
車好きじゃない奴がテストをして、
車好きじゃない奴が製造をして、
車好きじゃない奴が検査をして、
車好きじゃない奴が売るからだ。
なるほどなー。これはまさに、今の日本にもあてはまることなのかもしれないな。
日本の構造上の問題
あと理想で言えば…絶対そんなことにはならんけど「車を買ったら所得税免除されるとか、ふるさと納税で車買えるとか(なんかこれはあったような…違法なのかな)」そんな税金控除の仕組みがあれば、車を買う人は増えそうな気がする(笑)。まぁ絶対ないけどな。
日本の税の仕組みだと、頑張って稼げば稼ぐほど所得にかかる税金の率が上がって多くの税金を支払わないといけない。
また、車とは関係ないけれど…今日本は少子化対策とは言っているものの、「共働きで頑張って働いて、子どもを産めば産むほど、多額の保育園代を払わなければならない」仕組みになっている。
私の知り合いのワーキングマザーは子どもが3人いるのだが、夫婦でバリバリ稼いでいるので認可保育園の月額料金がMAXのゾーンにいる(所得税と保育園料が連動しているので)。3人の子どもを保育園に預けると、月々30万円ほどかかるので
「必死で働いて、子どもたちとの時間も減って、自分が稼いだお金の多くは保育園代に消えて…これだと何のために働いているのか分からないし、専業主婦になった方がいいかもしれない」と以前言っていた。
話は大きくそれてしまったが、車が好きな方が業界のトップにつき改革されたり取組みを実施されるのはとても良いことだと思うので、豊田社長、日本の車文化発展のためにも、頑張ってください!ヽ(゚д゚)ノ
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