ベントレー コンチネンタルGT コンバーチブルに試乗|W12気筒エンジンの余裕とパワーを堪能する

ベントレーコンチネンタルGTコンバーチブル
レビュー・試乗記

コンチネンタルGT

以前、ベントレーのコンチネンタルGTはパナメーラの買い替え検討で試乗したことがある。その時はW12のクーペであり、街乗りでの試乗だったが、今回は同じくW12エンジンのコンバーチブルに山道で試乗する機会を頂いた。

以前、街中で乗った時の印象としては、ベントレーのイメージよりはスポーティーに感じた。当時乗っていたパナメーラターボに基本的な乗り味はよく似ており、それにもっとマイルドさを付け加えるも、シャシーのスポーティーさを隠しきれないクルマだと思った記憶がある。

ベントレーコンチネンタルGTコンバーチブル

ベントレーコンチネンタルGTコンバーチブルの内装

今回のコンチネンタルGTコンバーチブルは、ブリティッシュ レーシング グリーンのボディカラーに、茶系の内装がとても素晴らしい個体だ。これぞ英国紳士の乗り物という雰囲気で、とても個人的に好きな配色だ。

タップリとした肉厚なシートに腰掛け、これでもかというほど可動部の多い電動調整シートを調整し、エンジンをスタートさせる。12気筒のエンジンは始動時から粒の揃った快音で目覚める。決して荒々しくない音なのに、どこかスポーティー。こういう所の調律は素晴らしい。

濃密な6リッターW12エンジン

出足から22インチの超大径ホイールの割には、素晴らしい乗り心地である。神経を集中させると、さすがにタイヤの扁平率の低さからくるアスファルトのザラザラ感はごく僅かに感じるが、それ以外の振動や衝撃は皆無である。

ベントレーコンチネンタルGTコンバーチブルのW12エンジン

駐車場から出て、アクセルに少し力を込める、いや、込めようとするだけでW12気筒エンジンは、もう余裕のトルクで2.5トンほどの巨体を軽々と運ぶ。1350rpmから900N・mは伊達ではない。これぞ余裕というべきトルク感であり、それに加えてとても回転フィーリングや音が濃密で贅沢だ。

昨今の高性能ディーゼルエンジンの大トルクも素晴らしいが、この回転フィールの滑らかさ、音、ステアリングに伝わる微振動の無さは、いくら最新のディーゼルでも真似できない。

本当の上質とはこういうものだ、とベントレーに教えられたような気がした。

スポーティー?ラグジュアリー?

以前の街中の試乗で感じた意外にスポーティーな印象というのは、山道ではどう変わるのか?

それを確かめるべく、アクセルを踏み足してみる。最もスポーティーなスポーツモードで足を固めて走ってみる。カーブに差し掛かり、ステアリングを切ると、これだけの大型エンジンをフロントに積んだ重量級ボデイなのに全くアンダーステアの兆候がない。

限りなくニュートラルステアに近く、しかもロールがとても少ない。驚くほど少ない。

それもそのはず、ダイナミックライド・アクティブロールコントロールというポルシェでいうところのPDCCのような機構は標準で付いているようだ。

ベントレーコンチネンタルGTコンバーチブルのホイール

スポーツモードでも乗り心地は抜群で、一切、不快な音も振動も何もない。あまりに快適なので、助手席に乗るオーナーさんに今のモードを再確認したくらいだ。

やはり、山道などで走ると、パナメーラターボの完全にスポーツカーに近い味付けに比べると、ずっとラグジュアリーだ。

ただ、ラグジュアリーといっても、そこはベントレー。結構なハイペースで駆け抜けても全くシャシー的には余裕があることを付け加えておく。

スポーツモードでは、アクセルオフで適度なバブリング音を聴かせ、変速はバフッ!バフッ!とまるでPDKにような変速音までするので、とてもスポーティーな気分にさせてくれる。もちろん、それらは爆音ではなく、とても上品な音量。

あくまでBGMとしての排気音、エンジン音であり、助手席との会話を決して邪魔するようなものではない。

直線で少しアクセルを踏み込んでみる。W12は一瞬、ターボラグがあるが、そこからは2.5トンをグイグイ加速させようとする。635psの数値からすると、さすがに重さもあるので、スーパーカー並の加速感とは言わないが、それでも十分な加速力だ。

ベントレーコンチネンタルGTコンバーチブル

オープン時もクローズ時も、当然ながらボデイの弱さや剛性不足などは皆無。一切分からない。モードを切り替えて、ベントレーモードと言われる伝統のモードに変更して、走ってみる。このベントレーモードというのは、ベントレーのオススメモードみたいなもので、標準のモードになる。

すると、スポーツモードよりはややマイルドなステアリングフィールになり、より快適さが増す。続いて、コンフォートモードにしてみる。すると、これは結構乗り味が違う。路面のうねりに合わせて、ボディがしっかり上下する。

私が思うベントレーの乗り味はこれだ!と思った。

ベントレーコンチネンタルGTコンバーチブル

ベントレー100周年記念モデル専用のエンブレム

とても心地よい。これぞ陸上のクルーザー。分厚い絨毯の上を走るかのような乗り心地。かといって国産高級車にありがちな単にフワフワな乗り心地とは違い、しっかりとダンピングが効いているので、フワフワの揺れは一発で収まるところがすごい。

サスペンションが上方向に伸びあがり、次に下方向に下がるのだが、下がる時の縮む速度の落とし方が絶妙。ヒタっと、猫が着地するかのような衝撃吸収で、伸びのスピードと縮みのスピードが対になっていないのが素晴らしい。

だから、フワフワな乗り心地なのに、フラットにさえ感じるという矛盾を実現している。

そのままカーブに少し早めの速度で侵入したらどうなるのか、やってみる。すると、ここでもベントレーマジックを見せつけてくれる。あれだけ柔らかい足回りなのに、ロールが少ない。

いや、しないと言ってもいいくらいだ。

だから、腰砕け感は皆無。旋回が始まると、瞬時に気づかぬうちにスポーツモードになっているような印象で、怖さが全くない。

クーペかコンバーチブルか?

いやはや、こんなに山道でも楽しめるクルマとは思わなかったというのが感想だ。街中で以前に乗ったクーペの時は、スポーティー過ぎやしないかと思ったが、今回、山道などで走るととても快適だ。

それは速度域が違うことに加え、今回はコンバーチブルであることも影響しているのかもしれない。屋根がない分、適度に衝撃や振動を逃しているということもありそうだ。

ベントレーコンチネンタルGTコンバーチブル

私は今回乗ってみて、もしコンチネンタルGTを買うなら、コンバーチブルが好みだと思った。こちらの方がラグジュアリーさが強く、私が思うベントレーの重厚さ、ラグジュアリーさを色濃く残している。そう考えると、クーペはスポーティーの中にある快適性、コンバーチブルは快適性の中になるスポーティーさが特徴のように感じた。

人それぞれ好みはあると思うので、一概にどちらが良いとは言えないが、コンチネンタルGT購入を検討されている方の参考になれば幸いである。

 

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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  • コメント ( 3 )

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  1. 168

    こんにちは、いつも楽しく読んでいます

    現在のベントレーのエンブレム、ウィングドBですが、実は翼の部分は左右非対称なんです
    右と左で羽の数が違っているんです

    ちょっとした豆知識でした。知っていたらスミマセン…(汗

    https://www.bentleymotors.jp/world-of-bentley/the-bentley-story/history-of-the-flying-b/

    • HiroHiro

      168さん、こんにちは。

      いやー、これは知りませんでした!
      と、いうか気づきもしませんでした。
      ありがとうございます。勉強になりました!

      1
  2. 168

    非対称なのはネットの記事で知りまして、ベントレー公式HPのエンブレムを見て確かに非対称だと確認した時は軽い衝撃を受けました笑

    車のエンブレムは素直にカッコいいですし、ブランドヒストリーを知ることができておもしろいですね