空冷ポルシェの維持費は3年所有すると合計で約212万円!

ポルシェ911(964)
ポルシェの維持費

高騰を続ける空冷ポルシェの価格

ここ最近、空冷ポルシェの価格の高騰が止まらない。空冷ポルシェ以外にも国産スポーツカーの中古なども軒並み上がってきているが、空冷ポルシェの価格の上昇率も半端ない。最近では少し程度の良さそうなものは『応談』や『ASK』の値札ばかりだ。

ポルシェ911(964)

たまに値段がついている個体でも、走行10万キロ以下でオリジナルに近い状態なら、964のティプトロニックでも1000万近い値段のものまである。3年前に私が買った時は700万円ほどだったので、いかに高騰してきているかがよく分かる。

そんな高い空冷ポルシェだが、高い値段を出して買ったものの、維持費やメンテナンスの手間はどのくらいかかるのか気になっている方も多いと思う。そこで、あくまでも一例にはなるが、私の92年式911カレラ2 Tip(964)のかかった費用をざっくりとシェアしてみたいと思う。

空冷ポルシェのメンテナンスは大変?

大変か?と聞かれると、クルマに興味のない人や、空冷ポルシェに思い入れのない人には間違いなく『大変』と映るだろう。なので、最近のクルマのメンテナンス頻度ではないことは間違いない。1年毎の定期点検で済むというような個体は少ないように思う。

ただし、これはオーナーの性格にもよる。常に完璧な状態で乗りたくて、少しでも壊れたり、傷ついたりしていると、すぐに変えたくなる性格の人か、それとも、多少の不具合は気にせず、動けばいいという感覚で乗るか、にもよるのだ。

ポルシェ911(964)のエンジンルーム

わが家の964についていうと、致命的なトラブルは今のところ無い。私はそんなに神経質なタイプではないのだが、ただ長距離ツーリングが趣味なので、空冷ポルシェといえども一日に500kmくらいはちゃんと走ってもらわないと困るし、できるだけ新車に近い状態で乗りたいと思うタイプなので、壊れてなくてもメンテナンスは予防的に行うことが多い。

そのため、普通の人よりはメンテナンスコストはかけている方だと思う。

メンテナンスにかかる維持費は?その内訳は?

まもなく、わが家に来て3年目を迎える空冷ポルシェにかかった維持費をざっくりと計算してみると、約214万円くらいになる計算だ。

ポルシェ911(964)

その内訳を見てみよう。なお、いずれも部品代、工賃等も込みのおおよその値段だ。

定期的なメンテナンス費用

クルマを所有していれば必ずかかる定期的な費用の一覧だ。ポルシェはオイル量も多く、高性能なオイルが必要なので、オイル交換は安くても3万円/回くらいは見ておいた方がいいだろう。

オイル&フィルター交換 約3万円 x 4回 = 12万円
ブレーキフルード交換 0.7万円
2年目の車検費用(税金等も含む) 11.5万円

不具合に関するメンテナンス費用

途中で止まってしまうような大きな不具合こそないが、約30年も経つとやはりどこかから異音がしたり、機能不全になることはある。それらの修理費用の一覧だ。

左右ドアの異音対策 1.6万円
ブレーキのジャダー修理(ブレーキディスクローター交換等) 8.2万円
リアのドライブシャフトブーツ交換&グリスアップ 4万円
ベルト類のテンション調整 0.3万円
ワイパーブレード交換 0.4万円
ホイールバランス調整 0.6万円
スロットルワイヤーのグリスアップ 0.2万円
エアコンガス補充等 1.0万円
エンジンブロアモーターファン交換 7.6万円
リアスポイラーウォール交換 2.3万円
アース不良修理 0.8万円
スピーカー破れにより再生産品の純正スピーカーに交換 14万円
ドアストッパー交換 2万円

予防や任意で行ったメンテナンス費用

これらはしなくても走行にはとりあえずは問題ない。しかし、より新車に近い状態を味わったり、長距離ツーリングでの不具合を避けるためのメンテナンスだ。ここまででメンテナンス費用の合計が約212.6万円ほどになる

ATF交換(ストレーナ、オイルパン等交換も) 10万円
デスビ交換一式 9.4万円
足回り一式新品交換(ショック、ブッシュ、マウント類) 126万円

任意の追加カスタム費用

これらは、見た目のメンテナンスと、より最新の現代のテクノロジーで空冷ポルシェを快適に乗るためのカスタムになる。なので、これらの費用は212万円には入れていない。

ホイール全塗装 10万円
リチウムイオンバッテリーへ交換 11万円
ICE FUSE 2.8万円
PCCM(クラシックポルシェ用純正ナビ) 15万円
灯火類のLED化 約2万円

メンテナンスにお金をかける価値はある?

以上が空冷ポルシェを約3年間所有した維持費になるが、一番高価なのはやはり足回り一式の交換だ。ただ、これは本当にして良かったと思っている。もししていなかったら、新車当時の素晴らしい足回りを味わうことなく、そのまま乗ることになっていたと思うと恐ろしい。それくらい、劇的に乗り味が変わった。

もし空冷ポルシェを買い、コレクション目的や観賞用ではなく、ある程度乗ることをお考えの方はぜひ足回りのリフレッシュはオススメする。走行距離に関係なく、経年劣化で必ずサスやゴム類はヘタっているので、それらはぜひリフレッシュして新車当時の乗り味を味わってみるといいだろう。

ポルシェ911(964)のコクピット

あと、幸いにも私のクルマの場合、エンジンからの大きなオイル漏れは無いのでオーバーホール等の予定はないが、もし過走行のクルマやオイル漏れがひどいクルマの場合はエンジンのオーバーホールの費用(100-150万円くらいという人が多いように思う)も考慮に入れておいた方が良いと思う。

このように、ちゃんと走るようにしようとすれば、とてもお金はかかるが、空冷ポルシェは売る時のリセールはかなり良く、近年の価格高騰の流れからすると、売却する頃にはメンテナンス費用をペイできてしまうような値段で売れることも十分に考えられる。

当たり前の話だが、少なくとも空冷ポルシェは今後、生産されることはない。数が減ることはあっても、増えることは無いのだ。だから、これからも長期的に見れば価格が上がる可能性は高いと思う。

そう考えると、空冷ポルシェのメンテナンスにお金をかけるということは、一概に損とはいえない。むしろ、いい状態のクルマを味わえたうえで、将来、安く上がったということにもなりかねないのだ。なので、私はクラシックポルシェのメンテナンスにお金をかけることは決して無駄ではないと思っている。

空冷ポルシェは本当に素晴らしいクルマなので、ぜひオーナーさんには愛情を持ったメンテナンスを施してあげてほしい。そして、新車当時の素晴らしい走りを味わってほしいと思う。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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