今回、芦有ドライブウェイにて以前ブログでも夫が紹介した、986ボクスターS、6速マニュアル車に試乗させていただいた。ミッドシップエンジン搭載、最高出力252馬力、コンパクトなボディと軽量さが特徴の、可愛いボクスター。

結論としては、「ドライバーの腕が如実に反映されるポルシェ」だった。まさに運転者の運転技術が、そのまま車の走りに現れる一台。本当に、良い経験をさせていただいた。

986ボクスターS、いざ、体感！

まず、エンジンをかけた瞬間から感じたのは、マイルドで上品な印象だった。エンジンの始動音は控えめで、シルバーのボディと茶色の内装が絶妙にマッチし、洗練された大人な雰囲気を醸し出していた。

そして、実際に運転してみると、わが家にある981ボクスターGTSが、まるでサイボーグのように感じられるくらい、気持ちの良いアナログ感を強く感じられる車だった。

クラッチの感触は軽く、シフトレバーの操作もスムーズでやりやすい。特に、ハンドリングにおいては、思っていた以上に曲がる。以前乗せていただいた991前期のカレラやわが家にある964カレラ2よりも、曲がりやすい、ハンドリング操作のしやすい印象を受けた。

試乗はものの10分程度で、「とてもマイルドで上品でしたー」と芦有の展望台に戻ってきた私に、夫がこんな一言を。

「多分いつもみたいに、恐る恐る運転して、986ボクスターSの性能のほんのちょっとも味わえず帰ってきたんちゃう？ｗ」

と。

いやまさしくその通りで…（笑）

やはり人様の大事な車となると、「よっしゃー！踏み込むぞ！走るぞ！」という気にはなかなかなれないし、例のごとくせっかくのMT車なのにAT車のように3速4速固定で運転していたので…次に、オーナーさんの運転で、私は助手席に乗って、986ボクスターSを体感させていただくことになった。

オーナーが解放したボクスターS

オーナーさんに運転を代わってもらった瞬間…めちゃくちゃ驚いた。

「えーこんないい音するんですか！！めっちゃいいエンジン音じゃないですか！そしてめっちゃ軽い！曲がる！すごい！」と、我ながら大興奮。

それもそのはず、車がまるで別物のように変貌し、エンジンが軽やかで、とてもイキイキとしていて、まるで生き物のように感じられた。

私が運転していた時は、大人しく静かだったボクスターが、その力を解放し、コーナーではダイナミックにどんどん切り込んでいく。

「え！？このクルマって、こんなに曲がるんですか！？」

と思わず声に出してしまったほど、まるで水を得た魚が自由に泳ぎ回るかのように、車が喜んでいるのが伝わってきた。

いやー参った参った。自分の運転が恥ずかしくなった。

試乗後、オーナーさんがこのようなお話をされた。

「この時代の車は、サイズ感もコンパクトで軽い。そしてパワーがあるとは言えないし、現代のポルシェのような電子制御はないので、調子に乗って運転をミスすれば、大変なことになる、いわゆるめんどくささを持った車。でも、それが楽しいんです。
一方で今乗られているタイカンなんかは、どんな曲がり方をしても雨の日でも安定感が抜群で、重さもあってとても安心感がありますもんね。今は、お子さんと一緒に乗ることが多いのであれば、986のような面倒な車ではなく（笑）現代のポルシェの方が安全だし、絶対に良いと思います。でも、将来的にマニュアルの腕を磨いて乗りこなしてみたいと思われるなら、その時にはぜひ乗ってもらいたい。本当に楽しいクルマですから！」

と。

古いポルシェだとはいえ、この車の限界性能は思っている以上に高いのだと思うが、普段は荷重移動なんて考えずに運転しているので、こうしたアナログな車については恐る恐る運転になってしまった。

最近、ドライビングスクールなどにも行っていないので、この経験を機に、ポルシェ・エクスペリエンス・センター（PEC）に行ってみて、718の素のケイマンやボクスターなどで走ってみるのも良いかもしれないと考えている。（とはいえ718も性能めちゃくちゃ高いけども）

運転、日々、精進

今回の試乗を通じて、ドライバーの腕が如実に反映されるポルシェの魅力を強く感じた。この車の限界性能を十分に引き出すなんて、自分には一生無理だなぁと思うけれども、ポルシェの懐の深さを再認識する機会となった。

オーナーさん、貴重なお車に乗らせていただき、有難うございました！