スティーブ・マックイーン愛用の伝説のポルシェ917K、ついにオークションへ

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ポルシェニュース

映画「ル・マン」で主役を務めた917K

1971年に公開されたスティーブ・マックイーン主演の映画「ル・マン」。
その中で主役を務めたポルシェ917Kが、ついにオークションに出品されることが明らかになった。

この917Kは、映画の中でマックイーン演じるマイケル・ディレイニーが操るマシンとして登場する、シャーシナンバー917-022だ。

当時、マックイーンが設立した制作会社ソーラー・プロダクションズがポルシェから直接購入したという経緯を持つこのクルマは、映画の中で#20のゼッケンを付けて走行。脚本では事故で大破してしまうことになっているが、実際にクラッシュしたのは917のボディを被せたローラだったという。

その後、このマシンは#21にペイントし直され、ディレイニーが最終スティントで2位でフィニッシュするシーンで使用された。つまり、映画の中で勝利したマシンとは別個体ということになる。
しかし、このクルマの価値は何と言ってもマックイーン本人が購入し、自ら運転したという事実にある。さらに撮影後、マックイーンが「完成。最後まで持ちこたえてくれてありがとう」というサインを残したことでも知られている。

オークション史上最高額更新なるか

この917Kが最後にオークションに出品されたのは2000年のRMモントレー・スポーツカー・オークションで、手数料込みで132万ドルで落札された。その後、2001年にジェリー・サインフェルドが購入したという情報もあるが、現在の所有者については明らかにされていない。

今回のオークションを主催するのはメカムで、2025年1月7日から19日にかけて開催されるキシミー2025オークションでの出品が予定されている。予想落札価格は公表されていないが、業界関係者の間では大きな注目を集めている。

過去には「ル・マン」に関連した917Kが、2017年のグッディング&カンパニーのペブルビーチ・オークションで1008万ドルで落札されており、これがポルシェブランド全体でも最高額記録となっている。

今回の個体は、1970年の新車時の仕様に完全レストアされたという付加価値もあり、この記録を更新する可能性も十分にある。

917Kをめぐる錯綜した状況

しかし、「ル・マン」に登場した917Kの真贋をめぐっては、複雑な状況が存在する。

1970年のル・マン24時間レースには8台の917が参戦し、事故で破損したシャーシが再構築されたケースもある。さらに、映画撮影では3台の917Kが使用され、すべて1970年のレース時のリバリーで塗装されていた。

例えば2021年のRMサザビーズ・モントレーオークションでは、実際のレースに参戦し映画にも登場した917K(シャーシナンバー917-031/026)が出品された。しかしこのクルマは、1970年のレース中に撮影された映像にのみ登場しており、1971年の本編撮影には使用されていない。

また2014年には、ジョー・ジフェールが所有し映画製作会社にレンタルした917K(シャーシナンバー917-024-2)がグッディング&カンパニーのペブルビーチ・オークションに出品される予定だったが、理由は明らかにされないまま出品が取り下げられている。

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20億円超えの可能性も

「ル・マン」に関連しない917Kの落札価格は、これまで500万ドルを超えたことがない。しかし今回の個体は、マックイーンという伝説的俳優の存在と、映画史に残る名作との結びつきが相まって、2000万ドル(約30億円)を超える可能性すら囁かれている。

ポルシェ乗りはもちろん、映画ファンや投資家など、様々な目的を持った人々がこのオークションに注目することは間違いない。917Kという伝説的レーシングマシンと、永遠の「クール」の代名詞とも言えるスティーブ・マックイーンの魂が宿ったこのクルマが、どのような価格で落札されるのか。オークション当日まで、世界中のクルマファンの目が離せないだろう。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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