GT3でもGT2でもない、ポルシェ911 GT1をご存知だろうか? – レースカーの血統を受け継ぐ伝説のポルシェ

Porsche 911 GT1
ポルシェ・911

ル・マン24時間レースのためのホモロゲーション

1997年に登場したポルシェ911GT1は、ル・マン24時間レースに参戦するためのホモロゲーション(公認)モデルとして開発されたクルマだ。当時のル・マン規定では、レース用車両のベースとなる市販車の生産が義務付けられていたため、ポルシェはこのストリート仕様の911GT1を限定生産したのだ。

実際のところ、この911GT1はレーシングカーそのものと言っても過言ではない。外観こそ911の面影を残しているものの、シャシーや駆動系はほぼレーシングカーと同じ仕様だったようだ。つまり、公道走行可能なレーシングカーとして誕生したのが、この911GT1なのである。

Porsche 911 GT1

新婚旅行で行ったポルシェミュージアムで見た911GT1。これを見てから996の涙目のファンになった。

レーシングカー譲りのスペック

911GT1ストリートのパワーユニットは、水平対向6気筒3.2リッターツインターボエンジンを搭載。エンジンはレーシングバージョンよりも若干ディチューンされていたものの最高出力は544馬力、最大トルクは600Nmを発生させるという、当時としては驚異的なスペックを誇っていたそうだ。

車体は、カーボンファイバー製のモノコックを採用。軽量化と高剛性を両立させることで、卓越した走行性能を実現したとのこと。サスペンションもレーシングカー譲りのプッシュロッド式を採用し、ハイスピードコーナリング時の安定性を確保している。

0-100km/h加速は3.9秒、最高速度は308km/hという、まさにレーシングカー並みの性能を持っていたようだ。

Porsche 911 GT1

限定生産モデルとしての希少性

911GT1のストリート仕様は、わずか20台程度しか生産されなかったとされている。これは、ホモロゲーション取得に必要な最小限の台数だったようだ。

当時の価格は約100万ドルと言われており、今日では数億円の価値がつくほどの希少車となっている。ポルシェマニアや投資家にとって、垂涎の的となっているクルマだ。

限定生産モデルならではの希少性に加え、レーシングカーとストリートカーの境界線上に位置する特異な存在感が、911GT1の価値をさらに高めているのだろう。

ポルシェの技術力の結晶

911GT1は、ポルシェの持つ高度な自動車技術の結晶とも言えるクルマだ。レースで培った技術を惜しみなく投入し、公道走行可能なクルマとして仕立て上げた。その姿勢は、ポルシェのエンジニアリングに対する真摯な態度を象徴しているとも言えるだろう。

ポルシェのラインナップにGT1と名のつくモデルはこれ以降ない。『GT2』まではあるが今のところ『GT1』は欠番状態だ。
しかし、911GT1の血統は脈々と受け継がれている。例えば、カレラGTなどはその直系にあたるし、最新の911 GT3やGT3RSなどは、GT1の精神を現代に蘇らせたモデルと言えるかもしれない。

ポルシェ乗りにとって、911GT1は憧れの存在であり続けている。その存在は、ポルシェブランドの持つスポーツカーとしての本質を体現しているのだ。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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