新型ポルシェ911(992)試乗記 一般道での走りやいかに?【前編】
公開日:2020.03.06
先日、新型ポルシェ911にようやく試乗させてもらう機会があり、夫が試乗の感想を書いてくれた。前編・後編に分けてお届けしますので、ぜひ、ご覧ください。
新型ポルシェ911(タイプ992)が日本に上陸してから、もう半年以上経ったにもかかわらず、一切試乗することなく過ごしてしまっていたのだが、今回、やっとカレラ4Sに試乗する機会に恵まれた。
今回、街中、ワインディングとじっくり試乗できたので、ボクスターや991型との違いなども含め、そのインプレッションを書いてみたいと思う。
新型ポルシェ911(992)
今回の試乗車はカレラ4Sでオプションが600万円近くも装備された極上の仕様。主だったものを挙げると、
・ガラスサンルーフ
・レザーインテリア
・リアアクスルステアリング
・スポーツエグゾースト
・スポーツクロノパッケージ
・パワーステアリングプラス
・20/21インチ カレラ エクスクルーシブ デザインホイール
・LEDマトリクスヘッドライト
・アダプティブクルーズコントロール
・14Wayスポーツシート
・ブルメスター ハイエンド サラウンドシステム
・・・などなどだ。
ボディ色は「クレヨンの次に流行るのでは?」と個人的には思っている「アベンチュリン グリーン メタリック」。前々からチェックしていて、この色は良いなぁと個人的に思っていた色だ。
実際に見てみると、とても美しい。本当に綺麗だ。特に992のデザインは空冷時代のクラシックな要素が強いので、この上品な緑がよく似合う。光の加減や角度で大人な品の良いグリーンにも見えたり、時折、ブルーっぽく見えることもある。
また、暗いところではガンメタっぽくも見える。近い色としてはめちゃくちゃ綺麗なコガネムシの羽の色に近く、とても落ち着いた玉虫色といった感じだ。もともと「アベンチュリン」とはパワーストーンなどの石の色を表現するのに使われる名前らしく、森林などをイメージした色らしい。
内装
まず運転席に座ってみたインテリアの第一印象は一言で言うと「ミニ パナメーラ」。とても洗練されていて、991と比べると当然ながら新しい感じがする。
一方、助手席側に目をやると、左右に貫く一本のダッシュボードトリムなどは、空冷ポルシェの内装を思わせ、「かなり空冷を意識しているなぁ」と感じ、新しい中にもクラシックの要素を上手く取り入れている印象を受けた。
試乗車はダークパルダオ インテリア パッケージでウッドパネルがはめ込まれていたが、これが非常に格好いい。高級ホテルのインテリアに使われていそうなウッドで、いわゆる「木目パネル」から想像するジジ臭さはなく、センスの良い大人な911といった感じだ。
走り
エンジンをかけると、スポーツエグゾースト装着車なので「ボボボボ ボッ」と結構勇ましい音がする。アイドリングからどことなく、金属音と排気音が入り混じったポルシェらしい音だ。
アクセルの重さなどは、それほど991型から乗り換えても特に違和感は無い。街中を流していると、PDKの変速ショックの無さとその洗練さに驚く。992で搭載されているPDKは8速PDKで971パナメーラで採用されているものと同じ仕様らしいが、その進化版だそうだ。
971 パナメーラのPDKもかなりスムーズだが、ギアが変わっている感がもう少しある。一方の992は最新のトルコンATとまではいかなくとも、それにかなり近いスムーズさだ。
たぶん、事前に知らされずに乗れば、全く区別がつかないレベルだと思う。30km/h〜60km/h前後の加減速が気持ちいい。エンジンパワーが十分なこともあるが、ギアのことをほとんど意識することなく、踏み込んだだけの加速をしてくれる点が好感が持てる。
ここではPDKは完全に裏方に徹しており、アクセルの踏み込み量と踏み込み速度に応じて、最適な変速をあくまでもスムーズに終わらせてくれるのだ。
エンジンサウンドも心地よい。後述するが、あまりスポーツエグゾーストのON・OFFで音量そのものはあまり変わらず、OFF状態でもそれなりに大きな音がする印象だ。アイドリング時や低負荷状態だと静かだが、少し踏み込むと、リアからハッキリと金属音と排気音が入り混じった良い音で、991時代より武骨な音に感じる。
妻は「空冷っぽい」と言っていたが、私も同感だ。もちろん同じではないが、規制の多い現代にあの音のフィーリングを何とか蘇らせようとする開発者の意思を感じる。
この試乗車のブレーキは普通の鋳鉄ブレーキだが、かなり好印象。カッチリ感が強い。わが家の981ボクスターGTSの鋳鉄ブレーキと991.2 GT3のPCCBのどちらに近いかと言うと、後者のフィーリングに近い。とにかく、減速コントロールがしやすく、「ブレーキを踏んでも楽しい」というポルシェならではの感覚が、この992でもちゃんと伝わるのだ。
やっぱりポルシェのブレーキは素晴らしい。
ワインディング
ワインディングに持ち込み、ステアリングの感触を確認する。ステアリングの操作感は、先代と大きく違うこともなく違和感も無い。しかし、ステアリングを切った時の初期応答は結構違う。
初めて体験すると「おぉ!」と声が出てしまうくらい俊敏だ。
このフィーリングもわが家のボクスター、GT3と比べると、GT3に近い。それもそのはず、ステアリングレシオは変更され、かつ、992ではフロントのトレッドは広がり1589mmになっているという。
ちなみに991.2のGT3は1551mmだ。
つづら折りの山坂道でも、非常に運転がしやすい。同じ911でも空冷の964型などは、ちゃんとフロントに意識的に荷重をかけてやらないと曲がらないが、992は当然そんなことはない。
空冷ポルシェから乗り比べると、常にフロントにフル荷重がかかった状態で運転しているかのようだ。上りだろうが、下りだろうが、ほとんど関係ない。普通にハンドルを回せば思った通りにズレなく曲がってくれるので、安心感も非常に高い。
一方で、乗りこなしている感、操っている感が空冷やGT3と比べると希薄なのは正直感じる。
では後編では、スポーツ・スポーツプラスモードで走行したときの印象、パワー感、足回りの印象など、書いていきたいと思う。
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