ポルシェ911 50周年記念モデルに乗ってみた!同じ991 GTSとの違いを徹底解説
公開日:2024.10.25
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2013年に発表された911(991型)の50周年記念モデル。
正式名称を「911 50周年アニバーサリーエディション」と呼ぶこのモデルは、世界限定1,963台という稀少なスペシャルモデルだ。このたび、このクルマに乗る機会を得たので、その印象を詳しく記してみたい。
50周年記念モデルの特徴的な外装
ベースはカレラSながら、随所に50周年モデルならではの特別な装備が与えられている。
まず目を引くのが、20インチの専用ホイール。伝説的なフックスホイールをモチーフにしたデザインで、マットブラックのカラーリングと中央部のポリッシュ加工が特徴的だ。このホイールデザインは、911の歴史を象徴する重要な要素として、多くのポルシェオーナーから支持されている。
エクステリアカラーには専用色として、グラファイトグレーとガイザーグレーメタリックが用意された。今回の個体は後者であり、近年人気のクレヨンカラーの先駆けとなった色味と言える。さらにブラックモノクロームも選択可能だが、やはり専用色の方が50周年記念モデルの個性をより際立たせるだろう。
リアエンドでは、エンジンコンパートメントグリルのフィンがクローム仕上げとなっており、クラシカルな雰囲気を醸し出している。このクロームの輝きは、現代的なデザインの中に、往年の911の息吹を感じさせる絶妙なアクセントとなっている。また、ツートンカラーのエンブレムには「911 50」の文字が刻まれ、特別なモデルであることを主張している。
インテリアにも散りばめられた記念モデルの証
室内空間も通常モデルとは一線を画す仕様となっている。
メーターパネルは50年前のモデルを彷彿とさせるデザインを採用。私の991と比べると、かなりメーター周りの雰囲気は異なる。
グリーンのインデックスとホワイトの針に加え、針のピボット部分にシルバーキャップを備えている。このメーターデザインは、現代の精緻な作りの中に、クラシック911の遺伝子を色濃く残している。
シートには、クラシカルなペピタ柄(千鳥格子)のデザインを採用。これも現在の911のヘリテージ系デザインの先駆けとなった意匠と言えるだろう。この生地は視覚的な楽しみだけでなく、座り心地も考慮された上質な仕上がりとなっている。
カップホルダーパネルには、個別のシリアルナンバーが刻印されており、限定車としての特別感を演出している。
991カレラ4 GTSとの乗り味の違い
私は普段991カレラ4 GTSに乗っているが、今回の50周年記念モデルとは、同じ991前期なのに、そのフィーリングが大きく異なることに驚かされた。
最も顕著な違いは乗り味だ。GTSは足回りがかなり締まった印象があるのに対し、50周年記念モデルはよりしなやかでマイルドな乗り味を持つ。この特性は、長距離ドライブや日常使用において大きなアドバンテージとなるだろう。
もともと991前期のカレラSは素晴らしく乗り心地が良い印象だが、あらためて乗り比べると、カレラSベースの50周年記念モデルはマイルドな仕上がりで好感がもれる。
エンジンサウンドも、GTSの方が明らかに主張が強い。特に私のGTSはリアシートレス仕様のため、防音材が少なく、より直接的に音が入るというのもあるが、50周年記念モデルは上品で落ち着いた音質を持つ。アイドリング時から高回転域まで、常に洗練された音質を保っている点は気負いすることがなく、どんな場面でも使えそうだ。
RRと4WDの個性の違い
駆動方式の違いも、走りの質に大きな影響を与えている。GTSの4WDは路面をしっかりと掴むような重厚感があるのに対し、50周年記念モデルのRRは、フロント周りが軽快で取り回しやすい。この特性は特に街中での運転において、大きな違いとなって表れる。
発進から加速時の挙動も対照的だ。GTSが力強く突き進むような特性を持つのに対し、50周年記念モデルはより滑らかでリニアな加速フィールを持つ。PDKやエンジンの特性もも、GTSが積極的な加速を促すような特性なのに対し、50周年記念モデルはより穏やかで自然な変速フィールを持つ。
街中での印象は、本当に上質なセダンに近いものがある。同じホイール、同じサイズのタイヤなのに、転がり感のスムーズさがGTSより際立つ。GTSは一人で山道を駆け巡るには最適だが、正直、デートカーには向かない。しかし、50周年記念車ならデートにも十分に使える乗り心地の良さと、音、そして、滑らかな加速のフィーリングだ。
これは思ってた以上に、チューニングが異なると感じた。
991型カレラSの魅力再発見
スポーツモードやスポーツエグゾーストを作動させた際の違いも明確で、GTSの方がより派手なサウンドとバブリング音を響かせる。しかし、これは必ずしもGTSの優位性を示すものではない。むしろ、50周年記念モデルの上質で落ち着いた特性こそが、デイリーユースできるスポーツカーという本来の911の真価をより示しているのかもしれない。
これらの違いを経験して、私は991前期型におけるカレラSの位置づけを再認識した。日常での扱いやすさと高性能の絶妙なバランスを持つカレラSは、多くのポルシェ乗りにとって理想的な選択肢となるだろう。特にこの991前期型のカレラSは、歴代911の中でも信頼性の高さと快適性、そして十分な性能をバランスよく兼ね備えた完成度の高いモデルと言える。
もし次に991を選ぶ機会があれば、私はカレラSを検討するだろう。それほどまでに、このクルマは911の本質を体現している。50周年記念モデルとの出会いは、そんな気付きを私にもたらしてくれた。
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