ポルシェ 718 ボクスターGTSを今度は運転してみた ー 981との違いを再検証
公開日:2019.04.18
718 ボクスター GTS試乗
昨日の記事で、「718ボクスターGTSを試乗できなくて悔しい思いをした」と書いたが、なぜそんなに私が悔しいと感じたのか、今日の記事を読めばご納得頂けるはずだw2月に夫が、知り合いの方の718ボクスターGTSの助手席に乗せて頂いたが、
今回はオーナーの方のご厚意で10分程度ではあるが試乗させて頂くことができた。そして、例のごとく夫がレポートをまとめてくれたので、その内容を以下、ご紹介したいと思う。
718 ボクスターGTSの第一印象
シートポジションを合わせて、クラッチを踏む。981よりは、わずかに軽く感じる。「ターボ化による低速トルク不足でMTは発進しにくい」と聞いていたが、実際はそれほどでもなく、クラッチをつないでも特に神経質なところはない。
ただ、718も981と同様、クラッチのミートポイントが1箇所ではない感じがある。(うまく表現出来ないが)これは、ポルシェ独特の感覚なのか、私のMT車の経験不足なのか分からないが、981に初めて乗った時も、半クラの領域が広く感じたし、慣れないうちは「繋がった」と思ってクラッチを離すといきなりガクンと来ることもあった。
今回の718でも「繋がったと思いクラッチを離すといきなり繋がる」ようなフシがあり、981と同様に少し慣れがいるクラッチではあった。
981と718の違い
クラッチにも慣れ、走り出したが、前回助手席で試乗させてもらった時とは印象がまるで違った。何もかも、違った。
ハンドリング
まず最初に感じた違いは「ハンドリング」だ。とにかく滑らかで、かつ接地感が強い。981より明らかに進化している。ハンドルの切り始めではそこまで違いは感じないが、「旋回中の接地感」と「ライントレース性の高さ」は、981の1-2割増しに感じた。
まるで、一段強いグリップのタイヤを履いているようだった。
運転が上手くなったような錯覚すら感じるし、余裕を持ってコーナーを走ることができる。「クルマのモデルチェンジでの正常進化」とはまさにこのことなのだろう。718は、とにかく洗練されたハンドリングになっていると思う。
981も、普通に走る分にはアンダーステアを感じることは無いが、718に乗ると、981が何となくアンダー気味に感じるほどだ。それくらい、718のハンドリングは、切ったら切っただけしっかりと曲がってくれる。
ハンドリングの味付けの方向性は、981とさほど変わらない。切り始めはやや緩やかで、イタリア車のようなクイックな演出は無いが、切り始めると、切った分と車両の動きが気持ちよく比例し、脳が違和感を感じないところはポルシェらしい。
乗り心地
乗り心地は、やはり良い。981も悪くないが、718はさらに洗練されている。スポーツカーとして良いというより、もはや、車として良い部類だ。フラット感でいうと、ハッキリ言って、下手なファミリーカーやミニバンより全然良いと思う。
ちなみに、以前、PASM無しの素のケイマンのレビューを書いたが、718ボクスターGTSの方が乗り心地はよく感じた。もちろん、同じ道路を走ったわけではないのであくまで印象だが、少なくとも低速での滑らかさはGTSの方が上だ。718ボクスターGTSの方がタイヤサイズが大きいにも関わらずそう感じるのは、おそらくPASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)のおかげではないだろうか。
エンジン
エンジンは良く回る。ターボなのでもう少し鈍重かと思っていたが、想像以上に良く回ってくれるエンジンだった。981のNAエンジンの場合は、音量が高まり、低音から高音になるにつれ、タコメーターを見なくてもどのくらい回っているか何となく分かる。
一方718の場合は、音質の変化が少ないので音だけでは分かりにくく、タコメーターに目をやると、「あ、こんなに回転上がってたんだ!」と驚くことが度々あった。だから余計に「良く回る」という印象を受けたのだと思う。2000rpmを超えたあたりからは、常に潤沢なトルクを感じた。
数値でみると、「981ボクスターGTSの330PS」に比べ「718ボクスターGTSは365PS」。その差はなんと、35PSもある。
ただ、今回の試乗のように、ワインディングを気持ちよく走る程度では、低速からの2速の立ち上がりではトルク差を感じるものの、それ以外では、981とのパワー感の違いはそこまでは感じない。
とはいえ、NAとターボの差に加えてこの馬力差だから、本気でアクセルを踏めば、おそらく大きな違いを感じると思う。
スポーツ・スポーツプラスモード
ノーマル、スポーツ、スポーツプラスと変えてみる。これに関しては981と同じく、「ポルシェはやはり、スポーツモード以上で走ってナンボのクルマ」だと感じる。モードを変えていくと、クルマのボディが筋肉質になり、枷が外れたような感覚になる。
さらに、PASMの足回りやエンジンマウントがグッと硬くなることでよりダイレクト感が増し、芦有のタイトコーナーでの718は、まさに水を得た魚のようだ。
コーナーに差し掛かる前にクラッチを踏み、シフトダウンする。そしてブリッピングして回転を合わせようとするが、やけに上手く回転が合う。981だと、もっと絶妙な回転数で合わさなければ多少のショックが出るが、718は「まるで自分の回転合わせが上手くなったかのように」一発で決まるのだ。
後に分かったことで、このブログにも読者の方がコメント下さっていたが、718からはスポーツモードでも自動ブリッピング(オートブリッピング)してくれる。981はスポーツプラスにしなければそうはならなかったので、この点も981と718の大きな違いだ。
スポーツエグゾースト
スポーツエグゾーストに関しては、ONにしても981ほどの音質、音量の違いは感じない。やや重低音とビート感が強くなり、音量が大きくなるくらいだ。別の言い方をすれば、スポーツエグゾーストをオフの状態でも、それなりに良い低音の排気音を聞かせてくれる。
音質の良し悪しについては、人それぞれ好みの問題なので何とも言えないが、重低音が好きな人は718、高音が好きな人は981が合っているのではないだろうか。
シャシー
981と718を比べ、シャシーの進化が最も顕著だと感じた。718は、新たにリアメンバーを追加することでリアサブフレームが補強され、加えてリアホイールも0.5インチワイド化されていると聞く。
それ以外にもサスやPASMのチューニングなどもあるだろうが、前述の通り、ハンドリングや乗り心地などに表れる「シャシー性能の進化」が最も顕著だと思う。
総評
981乗りから見た718ボクスターGTSの印象は、「とにかく優秀、優等生になったボクスター」。「最新のポルシェは最良のポルシェ」という、使い古された言葉どおりの進化を感じた。
おそらく、718ボクスターに乗り、性能的に文句を言う人は少ないだろう。文句があるとすれば、それは単に好みに合わない、もしくは求めているものが違う、というケースくらいしか考えられない。
実現不可能な話をするが、もし目隠しした状態で718ボクスターGTSと、それよりもっと価格の高いオープンカーを比較試乗したならば、718ボクスターの方が優れていると感じる人が多いのではなかろうか。
そのくらい、非常にコストパフォーマンスに優れたクルマだと思った。そして、試乗しおわった後、思わず口から出たのがこの言葉。
「やっぱクルマはポルシェだわ~(ため息)」
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コメント ( 2 )
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かのうです。
素晴らしいレビューを書いていただきありがとうございます。
購入検討した時には、未だ781の実車はなかったので、981で阪高の環状線を2周しました。その時の感覚(ステアリング、加速、サウンド等等)が非常に鮮烈でした。
ということもあって、僕の中では981ボクスターの素晴らしさが残っています。(尾を引くというか。。。。)じゃ、981を買えばよかったのですが、新しもん好きなのは大阪人の常。ということで、781を購入した次第です。という背景もありまして、981乗りの旦那様から高い評価をいただけるのは非常に嬉しいです。次回は、是非981を試乗させてください。
かのうさん
いつも有難うございます!
こちらこそ、貴重な、大切な、718ボクスターGTSを試乗させていただき、本当に有難うございました。
試乗は981でされていたのですね。
981のサウンドは格別だな〜と私も思います^^
でも夫は718の乗り心地やハンドリングなど、性能の高さに驚いていましたし、
やはり最新型のポルシェはすごいのだなぁと私も思いました。
はい、次回はぜひ夫の981にも乗られてみてください^^引き続きよろしくお願いいたします!