史上最強のポルシェが納車に!タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージ – 1108馬力の衝撃と異次元の走り
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以前からX(旧Twitter)やライブ配信で公言していた、あるポルシェを注文した件、ついにそのクルマが納車された。
今回、その納車レポートとファーストインプレッションをお届けする。
そのポルシェとは、ポルシェ タイカン ターボGT with ヴァイザッハパッケージだ。
ポルシェ タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージとは
タイカンはポルシェ初の電気自動車であり、4ドアクーペでありながら、スポーツカー顔負けの性能を持つ、まさにポルシェが作ったスポーツカーだ。
そのタイカンの中でも頂点に君臨するグレードが、このタイカン ターボGT with ヴァイザッハパッケージなのだ。
タイカンには様々なグレードが存在し、日本国内では、タイカンシリーズは8種類のラインナップとなる。
ベースグレードのタイカン、その上にタイカン4、タイカン4S、タイカンGTS、タイカンターボ、タイカンターボSと続き、その頂点がタイカンターボGT。そして、今回私が購入したのは、それにさらにサーキット用の装備を付けたのがこのクルマである。
タイカンの開発責任者ケビン・ギーク氏によると「公道走行可能なタイカンとしてはこれが限界」とのこと。そして、「この車はどこへでも乗って行ける一方で、サーキットも走れるデュアルパーパスだ」と強調しており 、日常性とサーキット性能を両立する方針で設計されているスーパータイカンなのだ。
タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージの驚愕スペック
タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージのスペックは、まさに驚異的だ。
0-100km/h加速はわずか2.2秒。0-200km/hでも6.4秒、海外の自動車雑誌のテストでは、0-60マイル(約96km/h)加速で1.9秒台を記録しており、ほぼ2秒切りに近い加速力を持つ。
ポルシェの公表データは、控えめな数値をあえてカタログに記載する傾向があるため、実際の加速はさらに速いと言えるだろう。
パワーは、通常モードで789馬力。ローンチコントロールのオーバーブースト時には1034馬力、さらに瞬間的には1108馬力までパワーを発揮する。
さらに、電気モーターを制御するインバーターも、タイカンターボSの600アンペアに対し、ターボGTは最大900アンペアまで対応。より多くの電気エネルギーをモーターに供給する。
また、タイカンシリーズは電気自動車ながら2段式のトランスミッションを搭載しており、100km/h前後で2速に切り替わる。このトランスミッションも、ターボGTでは入力トルクの大きさに合わせて強化されている。
ギア比も調整され、最高速度は305km/hに到達する。電気自動車で300km/hを超えるのは稀で、多くは250km/h前後。ターボGTの際立った性能がここにも表れている。
フロントとリアのスポイラーも、エアロダイナミクス向上のために専用設計。軽量セラミックブレーキPCCBも装備され、通常は黄色か黒のキャリパーが、ターボGTでは特別色のビクトリーゴールドとなっている。
ヴァイザッハパッケージの徹底した軽量化
ヴァイザッハパッケージは、徹底的な軽量化が施されている。ターボGTやターボSと比較して70kg以上も軽量化。
その証拠に、カーボン製のフルバケットシートが装着され、リアシートは取り払われている。リアドアは開くものの、リアシートがあった場所にはカーボンパネルが張り巡らされ、わずかな収納スペースがあるのみだ。
軽量化のため、快適装備は大幅に削ぎ落とされている。アダプティブクルーズコントロールはなく、昔ながらのクルーズコントロールのみ。スポーツクロノパッケージの時計もなく、キーレスエントリーも車に近づいても自動で鍵は開かず、ボタンを押して開ける必要がある。
360度カメラもなく、バックカメラのみ。電気自動車としては異例なほど、電装系が省略されている。シートヒーターやステアリングヒーターもない。
リアトランクも電動開閉ではなく手動。フロントトランク(フランク)の内張りもなく、プラスチックの箱のような状態。遮音材なども省かれており、ロードノイズはそれなりに拾う。
異次元の走りとフラットな乗り心地
ディーラーに納車で訪れた際、受付の女性の方からも「すごくカッコイイですよ!」と伝えられた。ポルシェの納車は何度も経験しているが、ここまで言われたのは初めてで、印象に残っている。
実際に対面すると、通常のタイカンよりもさらに車高が低く、身構えるような迫力がある。4ドアのスーパーカーとでも言うべき雰囲気だ。
カーボン製の大型リアウィングには「ヴァイザッハ」のロゴが入り、その下には小さなダックテールも備わる。リアのガーニッシュには、オプションのライトストリップ イルミネーティッド(赤いポルシェロゴ)が装着され、非常に美しい。
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トランク内は900A対応の新インバータのサイズに合わせるため「Turbo GT」ロゴの入った小さなパワードーム(張り出し)がリア荷室に設けられている
車内は、GT3と同等のカーボンフルバケットシートで、乗り降りは少し大変。しかし、座り心地は体をすっぽりと包み込み、正しいドライビングポジションを強制してくれる。
ポルシェ アクティブライドという新しい機構が標準装備されており(グレードによりオプション)、これが非常に良い。設定しておけば、ドアを開けると車高が上がり、閉めると下がる。ただし、バケットシートの場合は、逆に高くなると乗降しにくいため、普段はオフにしている。
このアクティブライドは走行中の効果も絶大で、後ほど詳しく説明したい。
納車手続きを終え、ディーラーを後にした瞬間、このクルマの只者ではない実力を感じた。
正直なところ、最初はあまり期待していなかった。タイカンのGTモデルだから、足回りは硬いが運動性能は高い、しかし街乗りでは乗りにくい、という先入観があった。
しかし、ディーラーから出てわずか数十メートルで、その考えは覆された。とてつもなくフラットな乗り味なのだ。段差をほとんど感じず、目線が上下に揺れない。加速時も前後の揺れがなく、平行移動するかのようにクルマが進む。
「これはヤバい、クルマだ・・・」数百メートル走って、独り言が出る。
これは、アクティブライドの影響も大きい。電子制御で瞬時に車高や傾きを調整する機構で、メルセデスのGLSなどにも搭載されている。しかし、GLSではオンオフの違いや、通常エアサスとの違いは、少し乗り心地が良いかなと思う程度だった。
しかしタイカン ターボGTでは、明らかに乗り心地が良い。
アクティブライド非装着のタイカンとは全く別物。フラット感が桁違いなのだ。
アクセルのつきも良く、789馬力、最大1108馬力を超えるクルマとは思えないほど、低速からコントロールしやすい。BMWのM8などもアクセルをあまり踏まなくても進むクルマだったが、M8には少し怖さを感じた。しかし、タイカン ターボGTの1100馬力には全く怖さを感じない。アクセル開度とスピード感がリニアで、人間の感覚に違和感がない。渋滞から高速道路まで、自由自在に運転できる。これぞポルシェである。こういう人間の感覚に寄り添う高度な設計に皆、惚れるのだ。
高速道路でのハンドリングも素晴らしい。
これぞポルシェのGTモデルのハンドリング。ステアリングの剛性感が高く、極わずかなステアリング操作で自由自在に曲がっていく。車線変更も、『ポルシェはそこに行こうと思った瞬間にはもうそこにいる』、という故・徳大寺有恒氏の言葉が、これほど合うポルシェはない。
高速道路のカーブが楽しく、飛ばさなくても楽しい。阪神高速の60km/h制限でも気持ち良く走れる。GT3なども気持ち良いが、エンジンを回さないと楽しさはどうしても半減する。しかしタイカン ターボGTは、電気モーターゆえに、どんな速度域でも楽しめる。これぞ、味わい尽くせる1108馬力と言える。
加速は恐ろしいほどだが、アクティブライドが車体を前後・左右とも平行に保つため、恐怖感はない。もはや、板の上に乗っているかのようである。電気自動車は加速は速いが、スピードが伸びがないものが多いが、タイカン ターボGTはどこまでも伸びる。
ブレーキもPCCBでよく効き、ノーズダイブも皆無。これもアクティブライドのおかげだ。カーブもロールせず、平行に曲がる。ただし、速いスピードでコーナーを曲がる際は、アクティブライドをオフにした方が、路面状況を掴みやすい。ちなみにスポーツやスポーツプラスモードだと、アクテイブライドの常に水平に保つという制御は自動的にオフになる。
正直、他のクルマに乗れなくなるのではないかと心配になるほど、このタイカン ターボGTは気に入ってしまった。
妻も運転して「すごい!」という言葉しか出てこなかったようだ。
ブログによく登場する、テストドライバーのTAKUROさんも少し乗ったが大絶賛。他のクルマを売ってでも欲しいと言っていた。あらためて、彼の感想も詳しく紹介しようと思う。
まだ慣らし運転中なので、右パドルを引くと有効になるアタックモードは試していない。ノーマルモードでも十分すぎる性能。
実は納車後、このタイカン ターボGTを中心に、わが家のポルシェのラインナップを全面的に見直そうか、とすら考えている。
リセールなどという野暮なことはどうでもいい。この性能なら、この価格も納得だ。そう思わせるくらいのインパクトのあるポルシェであり、少なくとも、私の中では最高に感動したクルマであることは間違いない。
今後、山道などでの走行も重ね、さらに詳しいレビューをお届けしたいと思う。
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コメント ( 1 )
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待っていました。フェティッシュなポルシェが何なのか、ずっと気になっていました。
期待以上のすごいポルシェでびっくり。と、同時に、無い物ねだりしたくなる気持ちも。
GT3とターボの関係のように、速さを目指しつつ、快適装備も充実なポルシェが良いです。
GT3についにリアシートが選べるようになったように、せめてリアシートと、電動シート、
それなりの遮音の考慮された、ツーリングパッケージが出ないものでしょうか?
それとも、それが、普通のタイカンターボSなのでしょうか?