ポルシェ タイカンが長距離性能で再び頂点に – P3充電インデックス2024の結果から見えるEVの進化

新型タイカンGTS
ポルシェ・タイカン

P3充電インデックスとは

P3充電インデックスは、電気自動車の長距離走行適性を評価する指標だ。

電気自動車専門のコンサルティング会社P3が、主にエネルギー消費量と充電特性の2つの要素を用いて算出している。バッテリー容量の大きさだけでなく、実際の消費電力と充電速度が長距離走行には重要だとのことから決められた指標になる。

このインデックスでは、20分間の充電で300kmの走行距離を確保できることを1.0と定義している。より多くの走行距離を充電できれば、1.0を超える値となる。2022年の第3回では韓国の起亜EV6が初めて1.03を記録し、トップに立った。

2024年版の結果概要

2024年版の結果が発表され、ポルシェ タイカンが1位を獲得した

タイカンは2019年の初回でも1位を獲得しており、5年ぶりの栄冠となった。タイカンは20分の充電で383kmもの走行距離を確保できるという驚異的な性能を示したとのこと。

今回のインデックスでは、クルマを2つのカテゴリーに分類している:

1. ミッドレンジクラス: 62,500ユーロ未満
2. ラグジュアリークラス: 62,500ユーロ以上

タイカンはラグジュアリークラスで1位を獲得。ミッドレンジクラスではヒュンダイ アイオニック6が1位となったそうだ。

ラグジュアリークラスの結果分析

ラグジュアリークラスでは、タイカンが圧倒的な性能を示したようだ。
充電カーブを見ると、300kW以上の高出力を60%以上の充電レベルまで維持できるという。これは他のモデルと比べて非常に高い電力の入力状態を保っているとのこと。

タイカンの平均充電出力は282kWで、2位のXpeng G9の233kWを大きく引き離している。さらに、タイカンの消費電力は19.7kWh/100kmと、ラグジュアリークラスで3番目に低い値を記録。この優れた充電性能と低消費電力の組み合わせが、圧倒的な長距離性能につながったようだ。

充電インデックスの値を見ると、タイカンは1.28という新記録を達成。

2位のNio ET5 ツーリングとKia EV9は0.98、3位のXpeng G9は0.96と続く。興味深いのは、NioとKiaは400Vシステムながら、一定の高い充電性能を維持できている点だ。特にNio ET5 ツーリングは400Vモデルとして過去最高の充電インデックスを記録したとのこと。

ミッドレンジクラスの結果分析

ミッドレンジクラスでは、ヒュンダイ アイオニック6が1位を獲得したそうだ。アイオニック6は低消費電力と優れた充電性能を両立させている。EcoTestでの消費電力は15.5kWh/100kmと非常に低く、ラグジュアリークラスの最も効率の良いBMW i5 (19.1kWh/100km)をも大きく下回っている。

充電性能では、アイオニック6は平均193kWを記録。これは800Vシステムを採用していることが大きな要因だという。20分間の充電で346kmの走行距離を確保でき、充電インデックスは1.15を記録した。

2位には起亜EV6が入り、充電インデックス1.03を記録。3位はポールスター2で0.93だった。テスラ モデル3は0.84で5位となっている。

注目すべきは、比較的安価なモデルでも良好な充電インデックスを達成できている点だ。例えばMG4 ラグジュアリーは0.71を記録し、2019年の優勝モデルに迫る性能を示している。

全体的に見ると、800Vシステムを採用しているモデルが上位を占める傾向にあるが、400Vシステムでも効率と充電カーブを最適化することで競争力を持つことができるようだ。ただし、今後はバッテリー容量の増加に伴い、800Vシステムの優位性がより顕著になる可能性が高いとのことだ。

P3充電インデックス2024の結果は、電気自動車の長距離走行性能が着実に向上していることを示している。

特にアジアメーカーの台頭が目立ち、トップ10のうち7台がアジア製のクルマだった。日本では、アジアメーカーのクルマは今だに性能が良くないという固定観念があるが、日本人が気づかぬうちにもう彼等はずっと先に行っているっている。また、ドイツメーカーも800Vシステムの採用を進めており、今後の展開が注目される。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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  • コメント ( 2 )

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  1. ともゆき

    現在 RS e-tron GTの中古を検討していたので、大変参考になりました。ありがとうございます。PorscheとAudiは同じだと思っていましたが、結果は異なるのですね。いずれにして最低でも150kw/hの充電環境がうらやましいですね。日本はアンチBEVが多いお陰で中古モデルが格安で購入できるので、しばらくBEVの世界を楽しんでみようと思います。

    • HiroHiro

      ともゆきさん、こんにちは。

      ポルシェの中の人に聞いたことがありますが、Audiとは共同開発等しているので、
      似ているようで、中身は全く違うと聞いたことがあります。

      BEVは日本はアンチが多いですが、車としての出来はICE以上だと思います。
      充電環境も以前とは比べ物にならないくらい充実してきましたし、ぜひBEVの世界を楽しんでください!