ポルシェデザインとスバルの共演 – スバル・レガシィB4ブリッツェン
公開日:2024.12.09
コンテンツ
ポルシェとスバルの異色のコラボレーション
ポルシェと聞くと、多くの人はドイツの高級スポーツカーを思い浮かべるだろう。
しかし、意外にも日本の自動車メーカー、スバルとコラボレーションした高性能セダンが存在したことをご存知だろうか。その名も「レガシィB4ブリッツェン」。2000年から2003年にかけて日本国内限定で販売されたこのクルマは、ポルシェデザインが外装・内装のデザインを手掛けた特別なモデルだったのだ。
ポルシェデザインは、911の設計者として知られるフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ教授が1972年に設立したデザイン会社だ。
高級時計やペン、キッチン用品など幅広い製品のデザインを手掛けており、その洗練されたデザインは世界中で高い評価を得ている。そんなポルシェデザインがスバルのセダンのデザインに関わったというのは、自動車ファンにとって非常に興味深い出来事だったと言えるだろう。
レガシィB4ブリッツェンの特徴
レガシィB4ブリッツェンは、当時のスバル・レガシィをベースに開発された特別仕様車だ。「ブリッツェン」というネーミングはドイツ語で「稲妻」を意味し、その名の通り高性能を謳った一台だった。キャッチコピーは“そのディテールに神が宿る”だ。
外観デザインは、ポルシェデザインの手によって大幅に変更された。フロントバンパーには大きな2つの開口部が設けられ、サイドスカートやリアバンパーも専用設計となった。特に目を引くのは、リアに装着されたダブルバブル形状のウイングだ。これらのエアロパーツにより、標準のレガシィとは一線を画す高級感と迫力のあるスタイリングを実現している。
内装も大幅に刷新され、高級レザーや上質な素材が随所に使用された。MOMO製のステアリングホイールやシフトノブ、ステアリングコラムに設置されたブーストゲージなど、スポーティさと高級感を両立させた内装デザインとなっている。
280馬力のツインターボエンジン
レガシィB4ブリッツェンの心臓部には、スバルの誇る水平対向エンジンが搭載された。2.0リッターの水平対向4気筒エンジンにシーケンシャルツインターボを組み合わせ、当時の日本車の自主規制上限である280馬力を発揮。トルクは343Nmを誇り、0-100km/h加速は5秒強という優れたパフォーマンスを実現した。
このエンジンの特徴は、低回転から中回転域で1基目のターボが働き、中回転から高回転域で2基目のターボが作動するシーケンシャル方式を採用していることだ。これにより、全回転域でスムーズな加速を実現している。
トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチックが用意され、マニュアル車には専用の限定スリップデファレンシャルも装備された。さらに、フロントにはストラットタワーバーが追加され、ボディ剛性の向上が図られている。
また、後に3リッターNAで220ps/6000rpmの最高出力と、29.5/4400rpmの最大トルクを発生する6気筒版の「ブリツェン6」も加わっている。
幻の高性能セダンの今後
わずか3年間の限定生産で終了したレガシィB4ブリッツェンだが、その後も多くのファンの記憶に残る存在となっている。2015年の東京オートサロンでは、6代目レガシィをベースにした新型ブリッツェンのコンセプトカーが展示され、注目を集めた。
しかし、残念ながらこのコンセプトカーが量産化されることはなかった。そして2024年以降、レガシィのネームプレートそのものが姿を消すことが決定している。長年にわたり愛されてきたレガシィの終焉は、多くのファンにとって寂しい出来事だろう。
もしかしたら、スバルがもう一度ポルシェデザインの力を借りて、新時代にふさわしい高性能セダンを開発していれば、レガシィの運命も変わっていたかもしれない。WRXの性能を洗練されたパッケージに収めた新しいモデルなど、様々な可能性が考えられる。
レガシィB4ブリッツェンは、ポルシェとスバルという異色の組み合わせが生み出した唯一無二のクルマだった。
その存在は、自動車メーカーが大胆な挑戦を行うことの重要性を私たちに教えてくれている。
今後、このような斬新なコラボレーションが再び実現することを、多くの自動車ファンが期待しているに違いない。
このブログが気に入ったらフォローしてね!
コメント ( 2 )
トラックバックは利用できません。
いつもブログ、ラジオ楽しく読ませて頂いています。
自分の今の愛車が991.1カレラと5代目レガシィb4です!
2台共ボクサーE/gなのが変態ですよね!
ポルシェ乗るまではレガシィ最高だったのですが、たまたま991.1のレンタカーに乗る機会があり、あまりの気持ち良さに惚れ込み手に入れる事が出来今は楽しいカーライフを送っています。
これからもブログ楽しみにしています。
森下直彦さん、こんにちは。
いつもブログ、ラジオとありがとうございます。
2台共、ボクサーエンジンだなんて素敵すぎます。
レガシィも昔、何度か乗ったことありますが、速くて安定してて、
どこか日本車らしくない感じがあって、とても好きでした。