ポルシェが合成燃料「e-fuel」の拡大を予測 – 空冷ポルシェが走れる未来は来るのか?

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ポルシェがe-fuelの将来性に自信

ポルシェは、2030年までに合成燃料であるe-fuelがガソリン使用量の「大きなシェア」を占めるようになると予測している。
この見方は、潜在的な顧客や政府からの支持が高まっていることを背景にしているようだ。

ポルシェはe-fuel開発に多額の投資を行っており、HIF Globalなどのパートナーと協力してチリに試験生産施設を立ち上げた。このプロジェクトは、e-fuelがカーボンニュートラルな方法で生産できることを実証することが目的だ。

現在、欧州連合は2035年以降も内燃機関車の販売を認める方針だが、それはカーボンニュートラルなe-fuelを使用する場合に限るとしている。しかし、業界の一部では、この要件が実現不可能であり、事実上の内燃機関車の禁止につながるのではないかと懸念する声もある

e-fuel生産の拡大を目指す

ポルシェのミヒャエル・シュタイナー研究開発責任者は、チリのe-fuel工場が「ロールモデル」として機能し、e-fuel生産が拡大されるべきだと考えており、シュタイナー氏は、クルマをe-fuelのみで走行させるのではなく、少しずつ化石燃料をe-fuelに置き換えていくことを提案している。

シュタイナー氏が言うには「重要なのは、どれだけの量の化石燃料を代替できるかということです。バイオ燃料と同じように、混合することから始められます。重要なのは化石燃料の使用を減らすことです」と。

また、最近のEV販売成長の鈍化により、ポルシェを含む自動車メーカーが内燃機関モデルの寿命を延ばす動きを見せていることも、e-fuelへの関心を高めている要因のようだ。

e-fuel生産技術の進化

ポルシェは現在、チリのe-fuel工場に新たな空気回収施設を追加する準備を進めており、この施設は、主プラントから回収された熱エネルギーを利用し、既存の風力・太陽光発電を補完するものになるそうだ。

シュタイナー氏は「これにより、e-fuelに必要なCO2を大気中から得ることができます。これが実現すれば、エネルギーを太陽と風から得て、必要な要素を空気から得る循環モデルが完成します。これは化石燃料の生物学的サイクルに匹敵する循環技術ですが、数百万年かかるプロセスを短縮できるのです」と説明している。

内燃機関車の将来戦略

ポルシェは最近、EV販売成長の鈍化を受けて、既存のガソリンエンジン搭載モデルであるカイエンなどの寿命を延長すると発表しました。そして、シュタイナー氏はこの戦略変更の理由について、以下のように説明している。

「我々の戦略は内燃機関、ハイブリッド、フル電気の3本柱でした。今回行ったのは、このタイミングを調整することです。2030年までに販売するクルマの80%が電気自動車になる可能性に備えていますが、多くの市場でこの移行はより遅いペースで進むと予想しています」

内燃機関モデルについては、新しい排出ガス規制に対応するためのアップグレードだけでなく、インフォテインメントやエンジン技術の面でもアップデートが行われるとのこと。V8やV6エンジンにも改良が加えられる予定だそうだ。
そして、911については、今回はフルプラグインハイブリッドではなく、軽量なハイブリッドシステムを採用しているが、このことについてシュタイナー氏は「911はブランドの中核であり、より軽量な提案が必要だと判断しました」と説明している。

ポルシェのこのような動きは、自動車業界全体でEVへの移行と並行して、既存の内燃機関技術の改良や代替燃料の開発にも注力する傾向が強まっていることを示している。e-fuelの実用化と普及が進めば、環境負荷を抑えつつ内燃機関車を存続させる可能性が広がるだろう。
いつまでも、空冷ポルシェやNAエンジンのポルシェが走ることができる未来が実現することを個人的には願わずにはいられない。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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