テスラとピレリのオールシーズンタイヤで雪道を走る!1100kmのツーリングで感じた実走レポート

オールシーズンタイヤとテスラ
レビュー・試乗記

オールシーズンタイヤで雪道を走る

以前、テスラにピレリのオールシーズンタイヤ「Cinturato All Season SF 3」(チントゥラート オールシーズン SF3)を装着したことをブログで紹介した。今回はその続編として、このタイヤを雪道で試した結果をレポートする。

ピレリの新型オールシーズンタイヤ「Cinturato All Season SF 3」を購入 – テスラモデル3に履かせてみた

まず最初に断っておきたいのは、日本でオールシーズンタイヤを履いて雪道を走ったというと、「けしからん!」「危険だ!」「アイスバーンではスタッドレスタイヤでなければダメだ」という意見が必ず出てくる。

しかし、そんなことは百も承知の上でのレビューであることを、大前提として言っておく。

私は元々、スタッドレスタイヤというガラパゴスタイヤが好きではない。

アイスバーンに強いことは理解しているが、高速安定性や剛性感、ドライ路面、ウェット路面でのグリップや制動力が弱すぎて、高性能なクルマに履いた場合は性能を台無しにすると感じている。そのため、基本的にスタッドレスタイヤは使用せず、オールシーズンタイヤや欧州のウインタータイヤを選択している。

私の冬の走行環境では、95%以上が低温のドライ路面かウェット路面だ。そのような状況で、グニャグニャとしたスタッドレスタイヤを使用すると、グリップも悪く、制動距離も長くなり、運転時のフィーリングも悪化する。高性能なクルマの魅力が半減してしまう。

では、アイスバーンの時はどうするのか?という疑問が出てくるだろう。
私はそういう場面ではとても慎重に走行する。ブラックアイスバーンのような危険な箇所はできるだけ踏まないよう注意するし、凍っていると分かれば、轍を避け、雪が積もっていたり、圧雪されている部分を意識して走る。これにより、できる限りグリップ力を維持するよう心がけている。

このような考え方に対して、「本当のアイスバーンを知らないから言える」という批判もよくある。
しかし、私も雪の多い地域に生まれ住み、免許取りたての頃からスキー場に通い、学生時代は信州のスキー場で冬の間は多くの時間を過ごしていた。雪道の運転にはそれなりの経験がある。今までにスタッドレスタイヤの経験も多くある。

その上で、あえてオールシーズンタイヤの使用を選択しているのだ。

ピレリのオールシーズンタイヤで雪道を走る

今回、ピレリのオールシーズンタイヤを履いたテスラで、年末にツーリングに出かけた。
高速道路、長野県のビーナスライン、新潟県の妙高地域、そして日本海沿岸部と、様々な雪道条件を経験することができた。

今回のツーリングでの平均気温は約3.5度。これは関西の温暖な気温も入れての平均だ。

山間部ではマイナス7〜9度の場所を多く走行し、アイスバーンになりやすい濡れた氷点下付近の路面も経験した。そんな中での結論を先に言うと、全行程を通して全く問題なかった。むしろ、少々スピードを出しても不安を感じることはなかった。

オールシーズンタイヤとテスラ

オールシーズンタイヤはV字型の溝を持っているので、スタッドレスタイヤやウィンタータイヤほどのトラクションは無いしろ、圧雪路でも十分なグリップを発揮する。坂道でも普通に登っていけるため、関東以南に住んでいて冬にたまにスキーに行くレベルや、大雪時の通勤程度であれば、オールシーズンタイヤで十分だと思う。

特に、都市部に住み、ほとんどの時間をウェット路面やドライ路面で過ごすドライバーにとっては、オールシーズンタイヤの方が適している。グニャグニャしたスタッドレスタイヤよりも、剛性感のあるオールシーズンタイヤの方が、緊急ブレーキ時の制動力も高く、そもそも運転も楽しい。

テスラの特性とオールシーズンタイヤの相性

今回の雪道走行では、テスラという電気自動車の特性も大きく影響している。

テスラは非常に緻密なモーター制御を行うため、トラクションを失いにくいクルマだ。私は様々なクルマを経験しているが、これほどまでに緻密なトラクション制御をするクルマを知らない。

また、回生ブレーキシステムが非常に優れている。

テスラの回生ブレーキは単なる回生ブレーキではなく、ABSのような制御が入っており、タイヤのグリップを最大限に活用しようとする賢い制御が行われている。普通のブレーキペダルを軽く踏んだだけでは簡単に滑ってしまうような場所でも、回生ブレーキを使うと嘘のように減速していく。

この点で、テスラとオールシーズンタイヤの組み合わせは非常に優れていると感じた。

厳しい雪道条件での走行

長野県のビーナスラインでは、何往復も雪道を走り、あえて日陰で凍結しているカーブを何度も走行してみた。

もちろん、夏タイヤのようには走れないが、「これは危険だ」と感じることは一切なかった。もちろん多少の滑りは感じるものの、少し轍を外したり、雪が残っている部分にタイヤを当てるだけで、すぐにグリップを回復できるし、むしろ、今のオールシーズンタイヤはここまで走れるのか、という驚きの方が強かった。

ただし、今回はなかなか完全なミラーバーン(ツルツルに凍った路面)には出くわさなかったが、こういう環境ではオールシーズンタイヤでは対応が難しいだろう。しかし、そのような極端な状況では、スタッドレスタイヤでも同様に苦戦する。

大雪の中の妙高、雪が降り続く高速道路でも走行したが、不安を感じることはなかった。

もちろん、大雪なので輪だちで左右に振られることはあったが、これはどんなタイヤでも同じだろう。圧雪路や大雪の中でも、全く進まないとか止まらないといったことは一切なく、何の問題もなく走れた。

オールシーズンタイヤの強みと弱み

一方、雪が解けた後のほとんどウエットのようなシャーベット路面や、雨で濡れた路面では、オールシーズンタイヤの真価が発揮される。スタッドレスタイヤは雨や濡れた路面に極端に弱いが、オールシーズンタイヤはこのような条件下で強さを見せる。制動力も高く、安全性が高い。

結局のところ、どこを重視するかが重要だ。
氷の完全なミラーバーン(ツルツルに凍った路面)のような極限状態で走行する必要がある場合は、オールシーズンタイヤではなくスタッドレスタイヤを選ぶべきだろう。しかし、ほとんどの人にとっては、シャーベットや圧雪路、多少凍結した程度の路面が一般的だ。そのような環境では、オールシーズンタイヤで十分に対応できる。

オールシーズンタイヤとテスラ

今回は日本海側を走っている時も大雪で、地元のスタッドレスを履いたクルマが多く走っていたが、ほとんど同じペースで走れるし、ほとんどウェットのシャーベット路面などでは、オールシーズンタイヤは強さを発揮した。やはり、雪というよりも濡れた路面に対して強いことが印象的だった。

日本海の海岸沿いの道では、むしろ夏タイヤののようにコーナリングも楽しめ、クルマの性能を十分に引き出せるグリップ力があると感じた。

オールシーズンタイヤ選択の結論

結論として、完全なミラーバーンなどが多い地域の方にはオールシーズンタイヤをお勧めしないが、都市部に住んでいて、毎回スタッドレスタイヤに交換するのが面倒だと感じている方には、オールシーズンタイヤは十分な選択肢となるだろう。

ちなみに、スタッドレスタイヤが一般的に使用されているのは世界の中で日本くらいなのだ。

海外では、同様の環境でもオールシーズンタイヤかウィンタータイヤが主流だ。日本ほどアイスバーンが多いわけではないが、海外でも当然ながら季節や環境によってはアイスバーンは存在し、そのような状況でもオールシーズンタイヤやウィンタータイヤで彼らは対応している。

オールシーズンタイヤとテスラ

運転やクルマの性能を楽しみたい方には、オールシーズンタイヤを選択肢の一つとして考えてほしい。
ただし、万が一のことを考えて氷結路の極限状態でのグリップ力を重視する方は、スタッドレスタイヤを選ぶべきだ。私個人としては、レアケースよりも95%以上の場面でのグリップ力や運転フィーリングを重視するため、オールシーズンタイヤを選択している。

クルマの性能を最大限に活かし、安全性と走る楽しさを両立させたいと考えるドライバーにとって、オールシーズンタイヤは魅力的な選択肢となるだろう。
ただし、自身の走行環境や優先順位をしっかりと見極めた上で、最適なタイヤを選択していただければと思う。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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