新型ポルシェ911タルガ(992)に試乗。タルガは最もラグジュアリーに乗れる911だ
公開日:2021.08.27
先日、偶然にも新型ポルシェ911タルガ4(992型)を体験させていただく機会を得たので、そのレポートをしてみたい。
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ポルシェ 911タルガ4(992)
今回、試乗させて頂いたのは最新の992型のタルガ4になる。あらためて言うまでもないが、タルガというのはカブリオレでもクーペでもない。タルガバーと呼ばれるBピラーに該当するバーが車体中央部にあり、これにより剛性を高めてカブリオレよりも剛性や安全性をさらに確保したモデルになる。
元々は1960年代のアメリカのオープンカーの安全基準を満たすために開発されたモデルになり、993~997世代まではタルガバーは一時的に無くなったものの、991から再度復活して今に至る。
試乗したモデルはパイソングリーンに彩られたタルガ4だ。パイソングリーンのクルマは以前、当ブログでも992のターボSの試乗記事で取り上げた個体がパイソングリーンでとても格好良かったが、今回のタルガボディにもとても良く似合う。この色ばかりは写真よりも実際に見るととても格好いいので、実物を見た方がいいだろう。
タルガバーのシルバーと、ブラックの屋根、そしてレッドの内装のコンビネーションが最高だ。一歩間違えばチグハグな色の組み合わせになりそうなものだが、このオーナーさんのセンスの良さはとても参考になる。
タルガバーの開閉はカブリオレと違い、走行中は出来ないが、19秒で開閉が可能。とても複雑かつ精巧な動きで、機械好き男子ならついみとれてしまう動きである。
992のタルガ4を運転させて頂いた。
カブリオレより乗り心地良い! pic.twitter.com/UGmXgwJi7H— Hiro@ポルシェがわが家にやってきた (@boxster_gts) August 15, 2021
ポルシェ911 タルガの内装と外装
内装はレザーパッケージで、ツートンレザーのブラック/ボルドーレッド。ダッシュボードまでレッドにしてしまうと、フロントガラスへの映り込みを考慮して、そこはブラックにされたとのこと。
そして、シートはスポーツシート・プラスが装着されていた。以前にもブログで言及したが、少なくとも992の場合、通常のスポーツシートよりも、このオプションのスポーツシート・プラスの方が断然座り心地が良い。もちろん、個々の体型にもよるので一概には言えないが、私の体型(177cm/74kgくらい)の場合はスポーツシート・プラスの方が体によく合う。
具体的には、座面のクッションの厚みが特に違う。これだけでも乗り心地に影響しそうなほどで、スポーツシート・プラスの方が肉厚だ。通常のスポーツシートでは長時間運転していると、座面が薄くてお尻が痛くなってしまうのだが、これなら大丈夫そうに思う。
もし、次にもう1台、992を買うなら私は絶対にスポーツシート・プラスにしようと思っている。
一方で、通常のスポーツシートはサイドサポートが小さい分、座面の幅や背もたれの幅は広いので、体の大きな方にはゆったりと座ることができると思う。なので、細身な方はスポーツシート・プラス、体の大きな方はスポーツシートの方が良いのではないかと思う。
外装に目をやると、ホイールは20インチ・21インチの Carrera Classic ホイール。個人的には一番好きなデザインで、私も最後まで選ぶかどうか迷ったホイールだ。タルガのデザインには、このクラシックホイールか Carrera Exclusive Design ホイールがよく似合うのではないかと個人的には思う。
マフラーはオプションのスポーツエキゾーストが付いていて、真ん中よりの二本出しマフラーになる。リアハッチの付近の造形はカブリオレより、やや天地が薄く見え、真後ろから見ると、クーペとほぼ同じようなデザインに感じる。
ポルシェ911タルガを試乗すると?
始動のエンジン音はやや大きめで、私のカブリオレとほぼ同じような音量だ。ちなみに、この個体はMY2021だそうだが、後で私のカブリオレとマフラー部分を見比べてみたが、どうやらGPFは付いていないように思う。
走り出しはとても滑らか。カブリオレよりもしっとりと動き出す感じで、ターボSの圧倒的な濃密なトルクでの出だしとまではいかないものの、フィーリングとしては近いものがある。
スピードを上げていくと、乗り心地がとても良い。カブリオレやクーペよりもマイルドだ。オーナーさんによると、タルガはタルガ用のサスペンションチューニングがされているとのこと。
なるほど、確かに今まで乗った911とは少し乗り心地が違う。
しかも20/21インチのホイールを履いているにもかかわらず、私の19/20インチのカブリオレよりもしっとりと滑らかに走る印象が強い。この乗り心地なら、まず文句を言う人はいないだろう。
カーブをいくつか曲がってみると、タルガのリアの大きなガラスの重量感、質量感は確かにある。クルマ全体の重さというよりも、重心がやや高い位置にあるような感覚だ。
カブリオレも重量こそ重いものの、屋根は幌なので、重心はとても低く、タイトコーナーでの身のこなしなどはクーペよりも俊敏ではないか?と思うことすらあるのだが、私の場合はそれに慣れているせいもあり、余計に感じるのだと思う。
ただ、だからといって、それがコーナリングにネガティブな影響があるか?と言われると、それは全くない。特にアンダーステア、オーバーステア気味な特性があるわけではなく、運転しにくさも全くない。ほんの少し俊敏さと言う意味では差があるかな?と思う程度で、素晴らしい正確さと安心感で、コーナーを駆け抜けていく。
少なくとも、一般道での速度域では全くこのタルガであることのネガは心配しなくてよいだろう。あるとすれば、サーキット、それも、鈴鹿のシケインや富士のダンロップコーナーなど、タイトなコーナーを俊敏に動く必要がある場合などでは明確に影響があるかもしれないが、そういうところでしか素人には分からないと思う。
コーナーを抜けてノーマルモードのまま流していると、排気音はカブリオレよりはやや静かに感じる。オーナーさんも、「スポーツエグゾースト付いてるのに静かなんですよ」と仰っていたが、これはリアに大きなガラスの開閉システムがあることも遮音に影響しているのかもしれないと思った。
走りにも慣れてきたところで、スポーツモードにして、少しタルガに鞭を入れてみる。スポーツエグゾーストのフラップは開き、ギアはひとつふたつ下のギアが選択される。回転数が高まり、アクセルを踏み足していくと、かなりいい音がする。オーナーさんが言われてた「静か」という感じではない。
加速感に関していうと、2名乗車でタルガということもあり、少しカブリオレよりはマイルドな気もするが、たぶん、一人で乗ればほとんど分からないレベルでの差しかないと思う。
アクセルを戻すと、「ボボボボボッ!」とアフターファイヤーの音が勇ましく聞こえる。私のカブリオレのノーマルエグゾーストと比べると、この演出の有無が最大の違いのように思う。ノーマルエグゾーストでもスポーツにすると、アフターファイヤーの音は聞こえるようになるが「ポポポポポッ」ともう少し軽い感じの音であり、このようにハッキリとした音ではない。
ちなみに、加速時の音などは、ほぼ同じくらいか、気持ちスポーツエグゾーストの方が大きいくらいで981や991.1時代のようにスポーツエグゾーストの有無よる明確な音量の違いは感じなかった。
スポーツモードでのコーナリングになると、カブリオレとの重量感の違いはさらに感じなくなる。エンジンマウントが締まり、全体的にボディ全体が筋肉質になる。アクセルレスポンスは鋭く、意のままに911は反応をし始める。
タルガで後ろが重いはずなので、タイトな上りが最も挙動が分かりやすいと思い、十八丁コーナーや芦有エッセスを神経を研ぎ澄まして駆け上がる。しかし、私の腕では何も違いが分からない。どんなコーナーもグイグイ回り込むし、トラクションも強烈だ。フロントの不安感など微塵もない。
そこで、私は思い出した、「タルガは四駆だったんだ!」と。
タルガが四駆である理由は、おそらく、このリア周りの重さの影響を少しでも少なくするためなのだろう。フロントも駆動させることで重量物をフロントにも置き、前後バランスを取るとともに、巧みな四輪のトルク制御で完全にネガを消しているのだと思う。
だから、本当に気持ちよく、かつ速く走ることができる。しかも四駆であることなど微塵も意識させずに、だ。
タルガの試乗を終えて
試乗を終え、あまりの高性能さ、考えられた制御の素晴らしさにあらためて感動した。ポルシェの凄いところは、単に『屋根をタルガトップにしました』とか、『四輪駆動の仕組みを付けました』で終わらないところだ。
ちゃんと、そのグレードの「バランス」ということをとても大事に、しかも真剣にチューニングして開発していると感じる。もはや、それは単なる『グレード』の追加という次元ではなく、他のメーカーだと『車種』の追加のレベルでテストして、検証して世に出しているのではないかと思うくらいだ。そのくらい完成度が高い。
だから、タルガは、そのエレガントな容姿から想像するそのままの優雅な乗り味を提供すると同時に、そして、ひとたび鞭を入れれば、生粋の911としてのパフォーマンスも妥協なく発揮する。
911タルガというのは、どういう方にオススメなのかをじっくり考えてみたが、911のスポーティーな走りを期待している方はもちろんのこと、それに加えて、カレラよりもさらのラグジュアリーな乗り心地を望み、利用用途がワインディングよりも、都会派の方や、デートや買い物などがメインの方には特にオススメする。そんなクルマだと思う。
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コメント ( 2 )
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こんにちは
992Targa4をオーダーし納車待ちなので、興味深く読ませていただきました。
現在脚車としてAudiS4Avant、天気の良い半ドンの日や週末などに718Boxsterに乗っています(718に乗る時はほぼオープンです)が、992に乗り換えるにあたり1台にまとめてTargaという選択をしました。
がっつり脚車にする予定ですので、Targa専用のサスチューニングで乗り心地がよいというのは非常にありがたいポイントです。
992自体がMY20からMY21で乗り心地がかなり良くなっているとか、経年でさらに良くなるとかいろいろ言われていますが、PORSCHEはモデルごとどころかMYでも細かな仕様が違って、試乗車では確認できない、届いてみないとわからないというところが結構あるので楽しみに待ちたいと思います。
最終仕様の確認の際にオプションのPTVplusを追加するか否か、着いているといないとでの違いが実感できる様なものなのかというのが目下の悩みです。
ろっくさん
こんにちは、有難うございます!
>992Targa4をオーダーし納車待ちなので、興味深く読ませていただきました。
おぉーそうなのですね!!!おめでとうございます!
タルガ、とてもうらやましいです…
おっしゃるように、モデルイヤーで細かな仕様が変わったりして、
実際に納車されて乗るまでわからない部分も多いですよね…