タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージでサーキット走行!富士スピードウェイでの感想は?

Taikan Turbo GT Weissach Package
Reviews & Test Rides

タイカンターボGTヴァイザッハパッケージのその後

購入から約800kmほど走ったタイカンターボGTヴァイザッハパッケージで初めてサーキットを走った。
そして、この一言に尽きる──「本当に買ってよかった」。
妻も今まで乗ったポルシェの中で最も感動したと口にするほどで、私も全く同感だ。

しかし、世間一般のタイカンに対する評価はやや複雑だ。

ポルシェの販売方針もあり、実績を積むために「買わされている」というネガティブな気持ちでオーナーになる人も少なくない。
そういった人々は「速いだけ」「重いし」といった表面的な評価で片付けてしまう。一方で、先入観なくフラットな気持ちで購入した人、あるいは真摯にクルマと向き合える人は、驚くほどタイカンのファンになっている。

私の知人にもGT3ツーリングを購入する条件としてタイカンも買った人がいるが、今ではGT3にはほとんど乗らずタイカンばかり使っている。「こんなに乗りやすくていいクルマはない」と絶賛し、次もタイカンを買うと言い切るほどだ。
また、当ブログのテストドライバーでよく登場するタクローさんもタイカンクロスツーリスモの4Sを代車で借りて「他のポルシェに乗れなくなる」とファミレスで2時間程、熱弁していた(笑)

Taikan Turbo GT Weissach Package

富士スピードウェイへの道のり──高速走行性能の卓越性

関西から富士スピードウェイまで、妻のタイカンクロスツーリスモ4Sと共に向かった。

高速道路での安定感とフラット感は今まで味わったことがないレベルだった。以前は高速道路で最高だと思っていたGT3ツーリングを遥かに超える高速安定性を持ち、私の中では「宇宙一」I can assure you that this is not the case.

出発前はバケットシートで長時間運転することに不安があったが、結果的には全く問題なかった。むしろ、バケットシートのおかげで正しい姿勢で座れるため、骨盤がきちんと立った状態で運転でき、5〜6時間運転しても疲れるどころか、腰痛が治るような感覚すら覚えた。体型との相性もあるだろうが、私にとっては理想的なシートだった。

タイカンターボGT ヴァイザッハパッケージのシート

サーキットでの驚異的パフォーマンス

今回も参加したのは富士スピードウェイでの「911Days」誌主催のイベントだ。

まずは、午前中は様子見で走ることにした。85%ほど充電した状態でサーキットに到着し、慣熟走行の後に本格的に走り始めた。

加速力は圧倒的だった。

同じポルシェと走っていても、アクセルを調整しないと前のクルマに簡単に追いついてしまう。911やケイマン、ボクスターが走る中、コーナーから直線になるとあっという間に追いつき、抜けそうになる。あまりに速度差がある状態で抜くのは危険なため、遠慮がちに走ることになった。

コーナリング性能も非常に高い。ターボGTヴァイザッハパッケージはめちゃくちゃ曲がる。
ただし、ケイマンや911ほどの横Gには耐えられないという印象はある。感覚的には981ボクスターくらいだろうか。しかし、体感的には重量があるにもかかわらず、クルマの重さはほとんど感じない。頭がスッとインに入るような軽快さがあり、よっこらしょと動いているような感覚は皆無だ。ただ、100Rのような長く強いGがかかるコーナーでは車重の影響で外へ外へと行く遠心力が高く、タイヤのグリップが負け始めるのが他のポルシェと比べるとやや早い。タイカン ターボGTこそ、カップタイヤを履きたくなるクルマだ。

富士のダンロップコーナーから13コーナーへの区間などは本当にきれいに曲がっていく。
俊敏性は言うことなく、重いクルマだという感覚は全くない。そして、最終コーナーを抜けての直線での加速は圧倒的で、アクセルを踏むだけで途方もない加速を体験できる。しかも不思議なことに速く走っているという感覚がなく、ただ前のクルマに近づくスピードが異常に速いという感覚だけがある。前を走るクルマはGT3であってもRSであっても、圧倒的なスピード差で追い抜いていける。

Taikan Turbo GT Weissach Package

300km/h超えの世界と圧倒的ブレーキ性能

今回のサーキット走行で確認できた最高速度はメーター読みで302km/h。

初めて自分のクルマで300km/hの壁を越え、感慨深い経験となった。290km/hくらいまではすぐに到達し、その後は上がりが少し緩やかになるものの、302km/hまで到達できた。そのような高速域でも全くブレず、驚異的な安定感があった。ダウンフォースがしっかり効いて、路面に押さえつけられている感覚がある。

Taikan Turbo GT Weissach Package

フルブレーキングをしているところ。モニターの赤が物理ブレーキ、緑が回生ブレーキの割合。

そこから第一コーナーに向かってのブレーキングも印象的だった。

重いクルマだからブレーキが効かないというイメージがあるかもしれないが、実際は逆に近い。300km/hから様子見で250mの少し手前から徐々にブレーキを踏み始めるだけで、全開でブレーキを踏まなくても余裕で減速できる。これは回生ブレーキの効果が大きく、左側のパドルを引くとアクセルオフ時にも回生ブレーキがオンになる仕組みだ。
モニターで確認すると、全開でブレーキを踏んだ場合、約7割が物理ブレーキ、約3割が回生ブレーキの効果とのこと。そして、そのフィーリング、制動距離ともに911と遜色ないブレーキ性能と断言できる。

細かな設定と熱対策の進化

タイヤの空気圧設定は重要だ。

ターボGTには「パフォーマンスプレッシャー」という設定があり、これは他のポルシェで言う「コンフォートプレッシャー」に相当する。しかし、これだと少し高すぎる感じがしたため、0.3〜0.4ほど下げて走行した。温間で2.5〜2.6Barくらいになるよう調整したが、重量のあるクルマであることや300km/h出すことを考えると、これ以上下げるのは危険だと判断した。

タイカンターボGT ヴァイザッハパッケージのレーストラックモード

また、スポーツクロノ機能の中に「レーストラックモード」があり、サーキット走行前にこれをオンにするとバッテリーや駆動系を予熱してくれる。バッテリー温度を上げて回生ブレーキでの回収率も高める効果があるようだ。前期モデルではバッテリー温度が上がりすぎてサーキットを走ると、途中から性能が落ちるという問題があったが、今回のターボGTではそういったトラブルやワーニングは出なかった。熱対策もしっかりと進化しているようだ。

ちなみにバッテリーの減りは、午前を終えて約30%程減っていた。もう少し本気で長時間走れば、40〜50%くらい減るのではないだろうか。

帰路での再発見とタイカンターボGTの真価

サーキット走行後、帰り道に山中湖方面へ抜ける三国峠のワインディングも走ってみた。

そこでも「タイカンとは思えない」俊敏な動きを見せた。GT3に近いレベルの俊敏性でワインディングを駆け上がっていくことができる。通常の911のレギュラーモデルでは、タイカンターボGTには全く敵わないだろう。完全に一線を画す。

Taikan Turbo GT Weissach Package

電気自動車ならではの滑らかさも特筆すべき点だ。
ギアチェンジがなく電気モーターの特性により、加減速が連続的で途切れることがない。これがワインディングでの走行を特に気持ちよくしている。帰りの高速道路も、行きと同様に超絶的な安定感で走れた。通常、富士スピードウェイから関西まで帰ると疲れて早く休みたくなるものだが、このクルマでは全く疲れを感じず、まだまだ走れるという気持ちになった。

タイカンターボGTは、ハイパフォーマンスでありながら快適で疲れないという、他に類を見ない特性を持つクルマだ。
サーキット走行でも、山道でも、長距離ドライブでも、それぞれのシーンで最高のパフォーマンスを発揮する。これほど多才なクルマは他にない。タイカンターボGTをお持ちの方は、ぜひ長距離走行やサーキットでその真価を体験してもらいたい。

Taikan Turbo GT Weissach Package

Hiro

I am Mina's husband. We don't drive cars for fashion or status symbols. We like cars that are fun to drive, are good industrial products, and have a sense of the maker's intention...

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  1. Blackmore

    911Days走行会、私もRSで参加していましたが、ちらっとタイカンを見かけました。。まさかのTurboGTだったとは、驚きました。

    日頃、ブログは拝見していますが、TurboGTが加わって、驚愕のラインナップになりましたね。

    自分もタイカンを忖度購入ではなく、日常の足として2台乗り継いているので、BEVならではのストレスないスムーズな走りは素晴らしいと思いますが、いつも電費ばかり気にして全開にすることがありませんでした。ブログ拝見して、RSなどのGT系がエンジンを唸らせて、必死に走る姿と比べて、音もなく、必死さもなく、それでいて、あの加速感、気持ちいいでしょうね。

    RS系の特別感と走りの達成感から、GT3系やRS系を乗り継いできましたし、自分は、車の終活に入っていて、余力がないですが、これからの世代は、時代の変革を受け入れざるを得ないのかと思うと複雑な気持ちです。

    今後も、楽しいブログを期待しています。

    • HiroHiro

      Blackmoreさん、こんにちは。

      911Daysの走行会に参加されてたのですね!
      タイカンこそ、どこかでその性能を解き放ってみてください。
      スポーツプラスでワインディングでも走れば、まさかあの重量とは思えない走りをしますし、
      パワー感も素晴らしいですよ。開発陣が911を目指したと言われる理由が分かると思います。
      電費なんてガソリン代に比べれば激安ですのでw

      おそらく、速さだけでいうとこれからEVが逆転しそうですが、
      ICEの鼓動感や音、アナログ感の良さはずっと残るとお思いますよ。
      ぜひ、RSも大切にこれからも乗っていってください。

  2. Hiroki

    いつも記事を楽しみにしております。
    自分はボクスターとタイカン4Sを持っておりタイカンは大きさもパナメーラほど大きくはなく長距離も楽で非常に気に入ってます。
    最近はEVへの風当たりが強くてタイカンを乗っている身としては肩身が狭かったですが今回の記事を見てやはりタイカンは最高だと自信を持って思えるようになりました。
    今まではボクスターでツーリングに行ってましたが今後はタイカンでもワインディングを走ってみようと思います。

    • HiroHiro

      hirokiさん、こんにちは。

      ボクスターとタイカン4Sは、いい組み合わせですね!
      タイカン乗ってると肩身が狭い、というお気持ちはよく分かりますよ。

      でも、本当にタイカンはいいポルシェなんです。
      それを知ろうともせずに売る人が多いので、なかなか評価されていませんが、
      自信を持っていきましょう。

      私も微力ながら、タイカンの素晴らしさを日本の、いや世界のポルシェ界隈に向けて、
      発信していければと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。